紫外線療法とは、皮膚疾患の治療法のひとつです。
紫外線領域の特殊な光を皮膚に当てると、免疫反応や細胞増殖を抑える反応が見られます。
アトピー性皮膚炎や白斑、乾癬、掌蹠膿疱症、円形脱毛症などの皮膚疾患の治療に多く用いられます。
紫外線治療、光線療法と呼ばれることもあります。
これらの疾患の治療に使われる紫外線療法は保険適応で、保険診療で治療を受けることができます。
皮膚の一部の色が抜けて白くなる症状があらわれます。
広範囲に及ぶことや、皮膚の神経に沿ってあらわれることもあります。毛の生えているところに白斑ができると、毛も白くなることがあります。
皮膚の色をつかさどるメラニンという物質を作る細胞「メラノサイト」が減少したり消失したりすることで、メラニンが作られなくなり、皮膚の色が白くなるといわれています。原因はまだはっきりと解明されていませんが、自己免疫の関与や酸化ストレス、末梢神経の機能異常などがかかわっているのではないか?と考えられています。
症状によって適切な
治療を選択します。
皮膚が赤く盛り上がり、乾燥した厚みのある皮膚がぽろぽろと剥がれ落ちるのが典型的な症状です。
かゆみを伴うこともあり、爪が変形したり、関節が痛くなったりする症状が出る方もいます。
原因ははっきりとわかっていませんが、遺伝的な体質に加えて、ストレス・食生活・薬・風邪・肥満など何らかの要因であらわれたり、悪化したりすると考えられています。
症状によって適切な
治療を選択します。
手のひらや足の裏に、膿を持った小さい水ぶくれのようなできものができます。手足の皮膚が赤く腫れ、厚く硬くなって剥がれ落ち、また赤く腫れる…という症状を繰り返します。
肋軟骨の結合部が痛くなるという症状があらわれる場合もあります。
原因ははっきりとわかっていませんが、扁桃腺炎、歯周病、副鼻腔炎、中耳炎、金属アレルギー、喫煙などと関係していると考えられています。中年の女性に多く、個人差はありますが、平均3~7年でよくなると言われています。
症状によって適切な
治療を選択します。
部分的に髪の毛が抜け落ちる症状です。
1箇所だけでなく複数箇所に症状があらわれたり、頭部全体に広がったり、さらに頭髪だけではなく全身の毛に及ぶこともあります。
原因はまだはっきりとわかっていませんが、毛根組織に対する免疫異常が発生しているという説が有力です。
生活環境の変化など、精神的なストレスが誘因となる可能性もあると考えられています。
症状によって適切な
治療を選択します。
皮膚が赤くなり、かゆみを伴います。皮膚に乾燥も見られることが多いです。
症状が重くなると、ジュクジュクしたり、かゆみが強くなったりします。
原因には多くの要素が挙げられますが、はっきりと解明はされていません。根本には皮膚の乾燥とバリア機能の異常があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わることで症状が出ると考えられています。
症状によって適切な
治療を選択します。
長波紫外線療法又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎又は円形脱毛症に対して行った場合に限って算定する。(令和4年診療報酬点数表による)
紫外線は、光の一種です。ここで一旦、「光」についてご説明します。
光は目に見える光、いわゆる可視光線と、目に見えない光があります。
紫外線は「UV」とも表現されますが、これは英語のUltra Violetの頭文字から取られています。日本語の紫外線も、英語のUltra Violetも、可視光線の紫色の外側という意味を持っています。
光は、「波長」により性質が異なります。太陽から降り注ぐ紫外線も、波長の長い方からUVA・UVB・UVCと3つに分類され、それぞれ特徴があります。UVCは地表には到達しませんが、UVAは真皮、UVBは表皮に到達し、日焼けを起こしたり、光老化と言われる紫外線によるたるみやシワ、シミの原因になったりします。
では、そんな紫外線を皮膚に当てて良いのか?と思いますよね。先ほどお伝えした通り、光は波長により性質が異なります。紫外線の中でも、特定の波長の光は、皮膚疾患の治療に有効であることがわかりました。また、治療の際は病変部位(症状が出ているところ)以外には紫外線が当たらないように、多様な機器があり、当て方も工夫されています。
より効果的な治療を行うため、様々な機器が開発されています。ここでは、代表的な4つの紫外線療法について紹介します。
PUVA(プーバ)療法は、薬をつけたり、飲んだりした後、波長の長い紫外線、UVAをあてる治療法で、歴史の長い治療法です。入浴PUVA療法(PUVA-BATH/プババス療法とも呼ばれます)と言われる、
光の効果を増加させる薬を溶かした温湯に入浴してすぐにUVAを照射する方法もあります。
<参考書籍・ホームページ>
皮膚科サブスペシャリティーズ 1冊でわかる光皮膚科(文光堂)
日本皮膚科学会ホームページ 皮膚科Q&A
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q16.html
波長が311nm付近という、特定の狭い範囲(ナローバンド)のUVBを用いる治療法です。PUVA療法との違いは、薬をつけたり飲んだりしてから照射する、という手順を踏む必要がないため、
より簡便に治療を行うことができます。治療時間も、PUVA療法より短い時間で行うことができます。
全身を一度に照射する全身型、半面を照射する半身型、さらに限られた面積を照射する局所型、手足のみを照射する手足型、ごく限られた一部分を照射するターゲット型などがあります。
<参考ホームページ>
日本皮膚科学会ホームページ 皮膚科Q&A
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q16.html
エキシマライトは、波長308nmのUVBを照射する治療器です。ターゲット型というのは、健常部位、つまり症状が出ていない皮膚に紫外線が当たるのを避けるため、光を出す範囲を狭くした機器のことを指します。ナローバンドUVBは全身型や半身型など、照射する範囲に様々な種類がありますが、エキシマライトは現状ターゲット型のみが普及しています。機器の輝度(光の明るさ)やより小さい病変を治療できるもの、卓上型や設置型など、快適な治療のため様々な機器が開発されています。
これまで紹介してきた機器はレーザーではない光を使用しているので、有効な波長以外の光も少し混ざってしまい、光が広がっていく性質を持っています。レーザーというのは、
一つの波長だけでできていて、ほとんど広がらずにまっすぐに進む光です。
エキシマレーザーとは、エキシマライトと同じ、308nmのUVBを照射するレーザーです。ライトよりも輝度が高い光を照射することができ、海外では20年以上の実績がありますが、日本では2019年2月に薬事承認を取得、9月に保険収載され、治療に用いられるようになりました。