監修:塚原 孝浩 先生
つかはらクリニック 院長
/ 形成外科専門医
脱毛に関する予備知識
毛には、毛周期(体毛が生え変わるサイクル)があり、「成長期」「退行期」「休止期」の3つに分けられます。脱毛の治療は、毛包内に毛がある時期(成長期~退行期)が効果的です。
しかし、すべての毛が同じサイクルではないため、1回の脱毛治療ですべての毛にダメージを与えることは出来ません。そのため、1回の脱毛治療で毛がなくなることはありません。
【成長期】毛が新しく生え、成長する期間
【退行期】毛の成長が止まり、毛が抜けるまでの期間
【休止期】毛が自然に抜けていく期間
毛周期は、体の部位によっても異なります。主な部位の毛周期の目安です。
成長期 | 休止期 | |
---|---|---|
あご髭 | 9~15ヶ月 | 10週 |
わき | 3~5ヶ月 | 2~4ヶ月 |
Vライン | 3~5ヶ月 | 2~4ヶ月 |
腕 | 11~16週 | 14~22週 |
膝下 | 15~19週 | 20~28週 |
部位による毛周期の他にも、毛の1本1本に「成長期」に入るタイミング、「休止期」に入るタイミング、抜け落ちて、また生えてくるタイミングは異なりますので、
2~3ヶ月おきに治療することをおすすめします。
実は、脱毛を考える男性も増えている?
ヒゲ脱毛、興味はあるけど…
男性のヒゲ脱毛は、毎日の手入れが面倒…というお悩みの他、ヒゲ剃りの後に肌が荒れてしまう、剃った後にすぐ青髭が目立つのが嫌だ…などのお悩みをきっかけに、検討する方が多いようです。
また、ヒゲ脱毛への関心度についての質問では、20代、30代ではやってみたいと思っている男性が半数を超えていて、20~40代で実際に脱毛をしている方もいることがわかります。
顔以外のムダ毛の脱毛は?
別の調査では、男性のムダ毛について、必ず脱毛したほうが良いと考えている方は少ないものの、濃い部分は気になる方が半数を超えていることもわかりました。
ただ、カミソリや除毛クリームといった自己処理で、肌を傷つけたり、肌荒れを起こしてしまったり、左右非対称になってしまったりと、プチトラブルを起こしてしまった経験のある男性も多いのでは。最近では男性専用の美容クリニックもありますし、万が一の時にも医療従事者が対応できる医療脱毛を検討してみてはいかがでしょうか?
光(IPL)・レーザー脱毛のメカニズム
脱毛治療には、メラニンという黒い色素に反応する、光(IPL)やレーザー光を使用します。
毛が黒いのは、このメラニンによるもので、光(IPL)やレーザー光を照射すると、毛のメラニンに吸収されて、熱に変わります。この熱が毛包に伝わり熱のダメージを受け毛は再生力が抑制され、自然と抜け落ちます。
毛の再生力を抑制するために必要な、高い熱エネルギーで照射ができるのは、医療機関だけです。そのため、エステサロンでの脱毛は、医療機関で受ける脱毛の効果までは期待できません。また、医療機関なら、万が一肌トラブルがあっても、すぐに対応することができます。
主な治療法一覧
痛みやダウンタイム、治療頻度は、お肌の状態により個人差があります。診察の際に、担当医に確認されることをお勧めします。本WEBサイトでの表現は、あくまで一般的な目安です。また、状態が良くなっても、定期的に受診してメンテナンスをすることで、良い状態を継続することができます。
光(IPL)治療
費用 | 痛み | ||
---|---|---|---|
ダウンタイム | 治療頻度 | 2ヶ月~3ヶ月に1回 |
治療部位にジェルを塗り、皮膚の表面を冷やしながら、光(IPL)を照射していきます。肌への負担が比較的少なく、1ショットに照射できる範囲が広い特徴があります。
ワキや手足などの体のムダ毛はもちろん、顔の産毛や細い毛にも使えます。さらに、光の熱刺激によって、肌にハリを与えてくれるというメリットもあります。
ことば辞典でもっと知る IPL
レーザー
費用 | 痛み | ||
---|---|---|---|
ダウンタイム | 治療頻度 | 2ヶ月~3ヶ月に1回 |
レーザー光は、光(IPL)よりも、毛のメラニンにしっかり反応させることができるため、太い毛や男性の髭のように毛が深くから生えている毛、VIOなどにも、適しています。毛にのみ作用するため、肌を傷つけることなく、短時間で終わります。
使用されるレーザーには、いくつか種類があります。
ダイオードレーザー
メラニンへの吸収がほどよく、比較的深くまで届くため、皮膚にメラニンが多い日本人の肌や毛質に適しているといわれています。
最近では、弱いパワーのダイオードレーザーを重ねて照射することで、より痛みを抑える照射方法も出てきています。
アレキサンドライトレーザー
ダイオードレーザーに比べ、メラニンへの吸収がよく、毛にしっかり反応する反面、届く深さはやや劣ります。
皮膚のメラニンにも反応しやすいので、色黒肌の方は肌が赤くなりやすいことがあります。
Nd:YAGレーザー
3種類のレーザーの中で、メラニンへの吸収が穏やかで、最も深くまでレーザー光が届きます。男性の髭のように深くから生えている毛、皮膚にメラニンの多い色黒肌やVIOなどの部位に適しているといわれています。
- Q1:ほくろや日焼けした肌には、治療できますか?
- A1:光(IPL)やレーザー光は、メラニンという黒い色素に反応します。
そのため、ほくろや日焼けした肌など、黒いものには反応してしまうため、肌トラブルに繋がる場合があります。治療中の日焼けは、出来るだけ気をつけましょう。 - Q2:痛みは、ありますか?
- A2:照射技術や冷却機能の進化によって、格段に痛みが軽減されています。
部位や毛の濃さ(毛質・毛量)によって、熱感やピリッとした痛みを感じる場合もありますが、痛みの感じ方には個人差があるので、痛みに弱い方は、医師にご相談ください。 - Q3:保険証は、必要ですか?
- A3:脱毛は、自費診療なので保険証は必要ありませんが、脱毛による肌トラブルなどは、保険で診察、薬の処方が可能な場合もあります。医療機関によって、対応が違うので、予約時に確認することをおすすめします。
- Q4:白髪も脱毛できますか?
- A4:白髪は、メラニンがないので、光(IPL)やレーザー光はでは脱毛できません。
反応しないので、毛の再生力を抑制することは出来ません。毛穴一つ一つに針を挿入する針脱毛の場合なら、毛にメラニンがなくても問題ありません。
針脱毛
費用 | 痛み | ||
---|---|---|---|
ダウンタイム | 治療頻度 | 1〜2ヶ月に1回 |
1本ずつ毛根を焼いて破壊するため、肌質を選ばず、メラニンのない白髪や細い毛にも
適しています。針脱毛を行う際は、毛の長さが3mm程度必要です。
施術の数日前から毛をそる処理を中止し、あらかじめ毛を伸ばしておく必要があります。
針脱毛は毛の生えている毛穴一つ一つに針を挿入して、高周波の電気を流します。
脱毛の料金設定は、1針や時間制となっている医療機関がほとんどです。
針の挿入も電流を流すのも一瞬ですが、他の脱毛と比べると痛みを強く感じることがあります。 また、1本1本処理するので、時間がかかります。
麻酔を行って治療できる医療機関もあるので、痛みが気になる場合は、相談してみてください。
脱毛治療における副作用と注意点
火傷(やけど)
日焼けをしていると火傷のリスクが高まります。日焼け止めや美白剤を使用し、肌の色を白くしておきましょう。
毛嚢炎(もうのうえん)
脱毛後にニキビに似た赤いプツプツ(毛嚢炎)ができることがあります。脱毛でバリア機能が弱まった毛穴に、ブドウ球菌が入ってしまうことが原因で起こります。
皮脂腺が多い背中や、男性の髭、ワキやVラインのように毛が太い部位で発生することが多いです。