監修:加王 文祥 先生
天神下皮フ科形成外科 理事長
/ 形成外科専門医
ほくろ
ほくろは、茶褐色~黒色の直径5~6㎜程度までの小さな皮膚のできものを表し、顔や体のどこにでもみられます。シミだと思ったら、ほくろだったということもあります。その場合、シミと同じようにケアをしても薄くはなりません。また、ほくろの中でも急に大きさが変化したり、6㎜以上あるものや、手のひら、足のうらにあるほくろは、悪性のほくろの可能性も考えられるので、気になる場合は、早めにお医者さんに診てもらいましょう。
いぼ
いぼは、皮膚から盛り上がってできる小さなできものを指し、いろいろな種類があります。
老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)
「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)とも言われ、加齢や紫外線によるダメージにより新陳代謝が乱れてできる、「いぼ」です。早ければ20代でもできることがあります。はじめは平らなシミとして現れ、徐々に盛り上がってくることが多く、顔、首、体などにできます。表面はカサカサしていて、痒みや痛みは、通常ありません。自然になくなることはなく、加齢とともに数が増えていきます。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
ヒトパピローマウイルスが感染して生じる「いぼ」です。皮膚から盛り上がったゴツゴツとしたいぼで、子どもの手の指、手の甲、足の裏に生じることが多くみられますが、体中どこでもできる可能性があります。ウイルスは、皮膚の傷などから侵入し、感染します。そのため、プールや浴槽の足場、家庭内ではタオルを共有したりすると感染する可能性があります。また、体の一ヵ所に尋常性疣贅があると、体の別の部位に広がるリスクもあります。
スキンタッグ
首の周りや、胸、わき、など皮膚が薄くて弱い場所にできます。皮膚から飛び出した柔らかくて表面にしわが多い「いぼ」です。大きさは、2~3㎜で、多発してできます。良性の皮膚腫瘍の一種で、感染性はありません。
主な治療法一覧
痛みやダウンタイム、治療頻度は、お肌の状態により個人差があります。診察の際に、担当医に確認されることをお勧めします。本WEBサイトでの表現は、あくまで一般的な目安です。また、状態が良くなっても、定期的に受診してメンテナンスをすることで、良い状態を継続することができます。
CO2レーザー
費用 | 痛み | ||
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ダウンタイム | 治療頻度 |
CO2レーザーとは、水分に反応する特長をもったレーザーです。レーザーを照射すると、皮膚の細胞内にある水分に反応して、熱エネルギーが発生し、組織を削ります。この作用を利用して「ほくろ」や「イボ」「盛り上がったシミ」などの治療に用います。
ほくろなどは、再発を防ぐために、細胞全体をきちんと除去する必要があります。一度で完全に除去する治療として深く切って縫い合わせる方法もありますが、傷痕がほぼ残ってしまうのに比べ、CO2レーザーでの治療はメスを使用しないため、縫合による傷を作らずに治療することができます。
また、術後の感染症や出血もほとんどなく、施術時間も数分で完了する場合がほとんどです。
治療の流れ
- 診察:症状や皮膚の状態を診察します。
- 消毒・麻酔:治療する部位を消毒し、麻酔をします。(症状によっては麻酔をしない場合もあります。)
- 照射:レーザーを照射します。
- 保護:薬を塗り、絆創膏で保護します。
(絆創膏を貼る期間は医師の指示に従ってください。) - 再診:治療した部位の状態を診察します。
※治療の流れは、医療機関によって異なることがあります。
- Q1:痛みや出血はありますか?
- A1:基本的には、麻酔を使用するので、痛みはほとんど感じません。
また、CO2レーザーには止血作用があるので、出血もほとんどありません。
※痛みに弱い方は、医師にご相談ください。 - Q2:1回で治りますか?
- A2:通常は1回ですが、治療する部位が多い場合や大きさ・深さによって、数回に分けて治療することもあります。
- Q3:治療後メイクは出来ますか?
- A3:メイクは出来ますが、治療した部位はかさぶたが取れてから、メイクをするようにしてください。
- Q4:かさぶたは、どのくらいで取れますか?
- A4:治療した大きさや深さによって異なりますが、通常は、1~2週間ほどでかさぶたが取れます。
- Q5:治療後、注意することはありますか?
- A5:絆創膏は医師の指示があるまで取らないでください。
絆創膏を取った後は、こすったり日焼けをしないようにしてください。その他、医師の指示がある場合は、それに従ってください。
液体窒素
費用 | 痛み | ||
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ダウンタイム | 治療頻度 | 1~2週間に1回 |
液体窒素による治療は、凍結療法とも呼ばれています。患部にマイナス196℃の液体窒素に浸した綿球などを直接当て、急激な凍結によって細胞を死滅させて除去する方法です。
凍結させて皮膚の細胞ごと破壊するため、ウイルス性のいぼに効果があると言われています。液体窒素は、いぼやほくろの治療が保険適用ですが、傷痕や、炎症後色素沈着も起こりやすく、治療も数回かかる場合があります。液体窒素による治療は、基本的に麻酔を使用しないため痛みを伴うことがあります。
※液体窒素は、保険で治療できる医療機関がほとんどですが、念のため事前に医療機関に確認することをおすすめします。
電気メスや手術で切除
費用 | 痛み | ||
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ダウンタイム | 治療頻度 |
電気メス
熱を利用して「ほくろ」や「いぼ」を焼き取る治療法です。局所麻酔を用いるので、施術中は痛みを感じることはなく、出血もほとんどありません。除去した部分は少しくぼみができますが、皮膚が再生することで、目立たなくなっていきます。電気メスでの治療は、保険適用ではありません。
手術
局所麻酔の注射をした後、メスで治療部位を紡錘形に切り取り、糸で縫合する方法です。
他の治療と比べて感染症や出血が多く、手術後は、1週間から2週間で抜糸が必要です。大きいほくろや悪性の可能性がある場合や、スキンタックが大きくなったいぼは、レーザーや液体窒素で治療するのは難しく、医師の判断で手術となる場合があります。手術で切除した組織は、検査に提出することができるので、どのような種類のできもの(皮膚腫瘍)であるかを診断し、悪性と良性の診断をほぼ確実にすることができます。手術は保険適用ですが、1万円を超える場合もあるので、手術費用や検査費用などをきちんと確認することをお勧めします。