STEP1 美容医療って、なあに?STEP1 美容医療って、なあに?

監修:公益社団法人 日本美容医療協会

みなさんは、「美容医療」という言葉を知っていますか?デジタル大辞泉(小学館)によると、「医療機関で医師が行う、脱毛・脂肪吸引・しみ取り・二重まぶた手術・審美歯科などの美容を目的とした医療サービス。」と定義されています。実際には一体どんなものなのでしょう?
まずは、「美容医療」について、日本美容医療協会の理事長であり、グリーンウッドスキンクリニック立川の院長である、青木律先生にお話を伺いました。
※内閣府から認定された美容分野の公益社団法人

青木 律(あおき りつ)先生

1988年に日本医科大学をご卒業。同年日本医科大学皮膚科学教室(形成外科学専攻)入局。1996年に医学博士、日本形成外科学会専門医を取得されオーストラリアに約2年留学。その後1998年に日本医科大学に戻られ、形成外科学教室講師をお務めになり、2003年に同大学付属病院形成外科・美容外科講師、2007年に助教授、2008年に准教授となられ、、同年より早稲田大学・非常勤講師も務められました。現在 グリーンウッドスキンクリニック立川院長、ならびに 2017年より日本美容医療協会の理事長となられました。

美容医療って、何ですか?

先生、美容医療って、よく聞くけど、いったいどんなものなんですか?

うーん、いきなり難しい質問ですね…(笑)定義としては、美容目的の医療全般のことですが、わかりやすく表すと「キレイになるための医療」です。

キレイになるための医療…(キレイには興味あるけど、医療ってよくわからないな…)。具体的には、どんなことができるんですか?

いろいろありますよ。みなさんが最もイメージしやすいのは二重まぶたをつくったり、鼻を高くしたり、豊胸やたるみ取りのような手術だと思いますが、手術以外の治療もたくさんあります。

えっ、手術だけじゃないんですか?

やっぱり、手術のイメージが強いですよね。1000人に取ったアンケートでも、20%くらいの方が「整形手術をイメージする」と回答されています。

「費用が高い」「思う通りの効果が得られるか、不安」「なんとなく怖い」…なるほど、みなさん、漠然と不安に感じているんですね…。

そうですね。「美容医療」について、正しい情報が伝わっていないのかな?と思います。美容医療は、一般的な医療、たとえば風邪をひいたりケガしたり、何かを治すために受ける医療とはちがって、健康な人がキレイになって、もっと充実した生活を送るために受ける医療なんです。もっとポジティブな医療であるはずなんですけどね。

でも、「キレイになれる」や「悩みを解決してくれる」、「若々しくいられる」といったポジティブな印象を持っている人もいますね!

こういった印象がもっと広まると、僕も嬉しいです。もっと身近に感じてほしいですね。たとえば、「スキンケア」も美容医療の得意分野なんですよ。

えっ、スキンケア?

かぶれや吹き出物、肌荒れに対して治療をするだけでなく、なんとなく気になる、肌のくすみや毛穴の開き、シミやシワに対しても、ケアすることができるんです。具体的な悩みはわからないけどなんとなく気になる、といった方には、医師目線で何をすべきかアドバイスすることもあります。

へぇ~、そうだったんですね!なんだか、自分専用のお肌のアドバイザーみたい。

そうそう、スキンケアといえば、医療機関でしか購入できない化粧品もあるんですよ。デパートやドラッグストアで売られている、いわゆる「市販の化粧品」よりも、成分の濃度が高いなど、医療機関でのみ販売されているものがあるんです。

そんなものがあるんですね!私も試してみたいです♪

スキンケア以外にも、ピーリングやレーザー機器、注射など様々な治療法を提案できます。脱毛や汗・体臭のお悩み、ダイエットなど、身体のお悩みも美容医療で解決できるんです。「美容医療=整形手術」というイメージを抱きがちですが、手術以外の治療法がたくさんあるんですよ!

なんだか、美容医療に対するイメージが変わってきました…!ところで、先生が理事長をされている日本美容医療協会というのは、どんなことをする団体なんですか?美容医療という言葉が入ってますよね。

日本美容医療協会は、“すべての人に美しくなってほしい”という願いを叶えるために、医師の知識・技術を最高レベルに保つ場を提供し、患者さまと我々専門医をつなぐ架け橋になることを目的とした、医師の団体です。患者さまが安心して美容の手術や治療を受けられるように、美容医療についての正しい情報を提供するとともに、美容外科医の生涯学習を行い、質の高い美容医療を提供する事を心がけています。と、説明が長くなってしまいましたが、要は患者さまによりよい治療を受けてもらうために、我々医師が勉強する場を設けたり、患者さまへ正しい知識を届けたりするために、医師が集まった団体です。

先生方も、よりよい治療のために日々努力されているんですね。

美容医療と美容整形って、ちがうんですか?

先ほどのお話に戻りますが…美容医療と聞くと、どうしても美容整形を思い浮かべてしまうんですが、整形とは何がちがうんですか?

「美容整形」って、一般的にはよく聞く言葉だと思いますが、正式な名称ではないんですよ。一昔前の表現で、今は使われていません。「美容整形」が指すものは、今は「美容外科」と言います。

えっ?!今は美容整形って言わないんですか?!知らなかったです。
美容外科というのは、どんなものでしょう?

美容外科では、美的な悩みに対して、形成外科の医療技術を応用して治療します。

「けいせい」外科?「せいけい」外科なら聞いたことがありますが…?

僕は「けいせい」外科医ですが、形成外科って、あんまりなじみがないですよね。形成外科は、交通事故などのケガの痕やヤケド、生まれつきのあざや変形などを、元の状態に近づける治療をするところです。あらゆる手法や専門的な技術を使って、機能だけではなく見た目もより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質、いわゆるQOL(=Quality of Life)の向上に貢献する、外科系の専門領域なんですよ。

形成外科って、よく知らなかったです…整形外科は、骨折したら行くイメージがあったけど…。

整形外科は、骨・関節とそれを取り囲む筋肉、神経系からなる「運動器」の機能を改善することを重要視して治療する外科ですね。見た目の治療ではなく、あくまでも運動機能を改善することが目的です。

なるほど、全然違うものなんですね。響きが似てるから、似たようなものかと思っちゃいました。

そういう患者さま、結構多いです(笑)。形成外科は、そもそも顔や手足などからだの表面の傷や変形をキレイに治すことを主な目的としています。形成外科の繊細で高度な医療技術を応用して、美的な問題の解決に当たるのが美容外科で、形成外科の中の一つのジャンルです。シミ治療はもともとあざの治療を応用してできたものだし、バストアップの手術は乳がんで乳房を摘出した患者さまに乳房を再建する技術を応用したものなんですよ。

へぇー!!そんな背景があったんですね!

美容医療って、手術だけじゃないんですか?

さきほど、美容医療でスキンケアもできる!ってお話しされていましたが、他にどんなことができるのか、もっと知りたいです!

わかりました。現在は、「切らない治療」が主流なんですよ。

医療用レーザーや高周波、超音波などを使った治療器が進化してきて、昔なら美容外科手術を行わないと改善しなかったようなたるみや小ジワも、手術を行わずに解消できるようになってきたんです。

治療器が進化?よくわからないけど、手術しなくてもできるんですか?

じゃあ、医療用レーザー治療器について簡単に説明しますね。レーザーと言うのは強い光で、種類によって吸収されやすい色やものがあるんです。たとえばシミの治療には、黒い色に吸収されやすいレーザーを使っていて、シミの色のもとになる黒い色素「メラニン」だけを破壊します。他のところにはほとんど反応しないから、狙ったところだけを治療することができるんです。昔は切除、つまりシミの部分を切り取ってしまう手術が必要だったけど、切らずに治療ができるようになった、というわけです。同じように、高周波や超音波も、皮膚の表面を傷つけずに皮膚の内側に作用して活性化させ、切らずにたるみや小ジワを改善することができます。ほかにも、肌質を改善したり、脱毛したり、目的によってたくさんの治療器がありますよ。

すごい!手術と聞くと、やっぱり少し緊張しちゃうけど、切らずにできるなら挑戦してみたいかも。

顔や体に傷を作ってしまうのは、抵抗がある人が多いですよね。手術と比べると、切らない治療はダウンタイムも少ないので、人気がありますよ。

ダウンタイム、ってなんですか?

治療を受けた後に、赤くなったり腫れたりする期間のことです。手術の場合、縫った傷が閉じてキレイになるまでの期間なので、手術の内容にもよりますが、3ヶ月~長いと半年、ということもあります。切らない治療の場合は、ダウンタイムのないものもありますし、かさぶたができるものもありますが、数日~長くても数週間のものが多いですね。治療後すぐにお化粧ができる治療もあります。

ん?ということは、周りにも気付かれにくいのかも?

そうですね。最近は、患者さまから「効果はほしいけど、周りにはバレたくない!」というご要望も多くいただきます。そういう方には、治療器で行う切らない治療はオススメです。ただ、手術のような劇的な変化は切らない治療では起こりませんし、どれくらいの期間赤くなったり腫れたりするのかは、治療を受ける前にしっかり医師に確認してくださいね。

なるほど、わかりました。あ、治療器以外だと、注射の治療も聞いたことがあります。でも、変な顔になっちゃうのかな?

ヒアルロン酸やボツリヌストキシンの注射ですね。シワやたるみの治療によく使われます。少し前に、一部のセレブなどの間でヒアルロン酸を顔にたくさん入れるのが流行って、不自然な顔立ちになっている方が多くいましたね。ボツリヌストキシンも、筋肉の動きを止めて表情ジワを緩和する注射なので、打ちすぎると表情が固まったような、不自然な印象になってしまいます。でも、注射の打ち方も進化しているんですよ。

そうなんですか?テレビなどで見かけたインパクトがすごくて…。

最近は、あくまで自然に美しくなることが美容医療の主流です。たとえばヒアルロン酸の打ち方も、たくさん入れずに小さな範囲で入れたり、種類によっては皮膚を持ち上げて、中でストッパーになるようにしたりと、様々な方法があります。先入観で苦手意識のある方も多いと思いますが、うまく活用すれば怖いものではないですよ。

そうだったんだ!手術以外にもたくさん方法があるんですね。私、全然知りませんでした。

もちろん、目を二重にしたり、鼻を高くしたり、治療器で改善しきれない重度のたるみ取りなど、手術でしかできないこともあります。まずは、自分がなりたいキレイ、をよく考えて、最適な方法を医師と相談しながら選びましょう。

なるほど!よくわかりました。先生、ありがとうございました!

1000人に聞いた!美容医療って、
実際どれくらいの人が気になっているの?

1000人アンケートでは、美容医療に対して興味があるかどうかも聞いています。すると、回答者全体では約40%の方が興味があるとのこと!男女別だと、男性は約25%、女性は50%の方が興味があると回答しています。

アンケート結果をじっくり見てみると、男性も女性も20代が最も関心が高いことがわかりました。20代男性では約45%、20代女性はなんと約65%近くの方が興味を持っているようです。動画サイトやSNSを通して情報を発信する人が増えた分、若い世代で興味を持つ方が増えたのかもしれませんね。

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  • STEP3 どんなクリニックを選べばいいの?STEP3 どんなクリニックを選べばいいの?
  • STEP4 知っておこう!万が一のトラブルに備えてSTEP4 知っておこう!万が一のトラブルに備えて
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