シミ・美白

♥3

【医師監修】紫外線ってなんでダメなの?UVケアの必要性

監修医師:山下 理絵 先生(湘南藤沢形成外科クリニックR 総院長 / 形成外科専門医)

突然ですが、皆さん、UVケアしていますか?漠然と「お肌のためには紫外線は浴びない方がいい」ということは知っていても、紫外線を浴びると具体的にどうなってしまうのか、何がお肌に悪いのか、はっきりとは知らない方が多いのではないでしょうか。

ここでは、そんな疑問にお答えします。

監修:山下 理絵 先生(湘南藤沢形成外科クリニックR 総院長)

紫外線を浴びるとどうなるの?

知ってほしい、紫外線ダメージ

こちらは、紫外線の恐ろしさを伝えるときによく使われる、医学誌「NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」で発表された有名な写真です。

69歳のトラック運転手の男性が28年間、トラックの左側(左ハンドル)の窓から差し込む紫外線を浴び続けた結果、顔の左側にシミ、シワ、たるみ、毛穴の開きといった老化現象がはっきりと現れているのがわかると思います。

出典:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1104059

こちらは極端な例ですが、同じ人でも紫外線を浴びていた部分と浴びていない部分にこれだけの差が出てしまうのです。つまり、きれいな肌を保つためには、紫外線をどれだけしっかり防げるかが重要となります。

そもそも紫外線って何?

紫外線は太陽光線の一部

紫外線は、太陽から降り注ぐ光、すなわち太陽光線の一部です。太陽光線は大きく紫外線、可視光線、赤外線の3つに分けられます。可視光線は人間の目でとらえることができる光で、それ以外の光は通常見ることができません。紫外線は「UV」とも表現されますが、これは英語のUltra Violetの頭文字から取られています。日本語の紫外線も、英語のUltra Violetも、可視光線の紫色の外側という意味を持っています。

紫外線の種類

ひとくちに紫外線といっても、波長によって性質が異なることから、波長の長い方からUVA・UVB・UVCと3つに分類し、区別しています。
波長が異なるUVAとUVBでは、届く深さや肌への作用にも違いがあります。

UVA (315-400 nm)

・大気による吸収をあまり受けずに地表に到達します。
・波長が長いため、肌の深く(真皮)まで届きます。
・メラニンが増え、肌が黒くなります(日焼け・サンタン)
シミ・そばかすの原因となります。
・真皮のコラーゲンを破壊し、シワ・たるみの原因となります。
・曇りの日や窓ガラス越しでも照射量は減衰しません。

UVB (280-315 nm)

・成層圏、オゾン層により大部分が吸収され、残りが地表に到達します。
・波長が短いため、肌の浅いところに作用します。
・肌表面が炎症を起こし、赤みやほてりが生じます(サンバーン=日光皮膚炎)
・メラニンを作るメラノサイトを活性化し、シミ・そばかすの原因となります。
・曇りの日や窓ガラスがあると、照射量が減衰します。

UVC (100-280 nm)

・成層圏、及びそれよりも上空のオゾン層と酸素分子によって全て吸収され、地表には到達しません。
※日本ではまだ到達していませんが、オゾン層の破壊が進む一部の国では到達しているところもあるようです。

豆知識:紫外線以外の光について

また、近年では近赤外線やブルーライトといった光も、目や肌に対しての影響が懸念されています。紫外線に比べて、研究されはじめた時期が遅いため、まだわかっていないことも多いのですが、これらの光も浴びないための工夫が必要と考えられています。

近赤外線(760~1,400nm)

・人体には熱として感じる光です。
・表皮、真皮よりもさらに深い皮下組織や筋層まで到達します。
・コラーゲンやエラスチンを変性し、シワ・たるみの原因になります。
・窓ガラスや薄手の衣類まで通過します。

ブルーライト(380~500nm)

・主に目への影響が懸念されている光です。
・睡眠(体内時計)に与える影響、画面を見続けることによる目の乾きや疲れが学術的に証明されています。
細胞への酸化ストレス増大が確認されていますが、肌への直接的な影響についてはさらなる研究が必要です。

紫外線が人体に与える影響

紫外線を浴びたら何が起きるの?

紫外線を浴びると、私たちの体にはさまざまな影響が出ます。紫外線の影響は、特に露出の多い肌や目に症状として出やすいことがわかっています。その反応は、大きく分けて2種類あり、紫外線を浴びてから比較的早くに反応があらわれるもの(急性)と、何年もかけて長期的に浴び続けることで反応があらわれるもの(慢性)があります。

<早く反応があらわれる…急性>

① 日焼け:肌に炎症が起こり、赤みやほてりが生じる。肌が黒くなる。
② 紫外線角膜炎(雪目):角膜が傷つき、強い痛みや目の充血、涙が止まらなくなる。
③ 免疫機能低下:一時的にアレルギー物質への反応が低下。ヘルペスなど、免疫機能障害の寛解。
④日光アレルギーによる蕁麻疹
⑤ ビタミンD合成

<長期的に浴びることで反応があらわれる…慢性>

① 肌の光老化:シミ・シワ・たるみ・毛穴の開きなど
② がん化:良性腫瘍(脂漏性角化症=老人性のいぼ)、前がん病変(日光角化症、悪性黒子)、皮膚がん
③ 目の疾患:白内障、翼状片

参考:環境省ホームページ 紫外線環境保健マニュアル2008
https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf

紫外線にもいいところがあるの?

このように、悪者にされがちな紫外線ですが、人体にとって良い一面もあることをご存じですか?かつて日光浴が健康に良いとされた理由は、紫外線を浴びると体内でビタミンDがつくられるからです。とはいえ、ビタミンDはある程度食物からも補えますし、紫外線を浴びるメリットよりも、デメリットの方が大きいというのが、近年の紫外線に対する考え方の主流です。日常生活の中では、紫外線対策をしっかり行うことが大切なのです。

紫外線から肌を守るためには?

いくら紫外線を浴びたくないと思っても、通勤・通学、買い物やスポーツなど、日中まったく外に出ないで過ごすことは難しいですよね。そこで、紫外線対策として有効なものをご紹介します。

・日焼け止めを塗る
・日傘をさす、帽子をかぶる
・肌の露出を抑えた衣服にする(長袖、スカーフなど)
・黒っぽい衣服にする(衣類からの紫外線反射を防ぐ)
・サングラスやUVカットのメガネをかける(眼球への影響を防ぐ)
・飲む日焼け止め(サプリメント)の併用や、日焼け後に抗酸化作用の高い食品を摂取する

なかでも手軽にできるのが日焼け止めを塗ること。日焼け止めを毎日欠かさず塗っている方と、塗っていない方では、5年後、10年後のお肌で目に見えるほどの差がついてしまいます。ぜひ、日焼け止めは「洗顔」や「保湿」と同じように、毎朝の習慣にしましょう。

日焼け止めの選び方については、こちらの記事で解説します。

(美容医療のあれこれ 編集部)

     

記事一覧に戻る

TOP