シミ・美白

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【医師監修】上手に使おう!日焼け止めの効果と選び方

監修医師:山下 理絵 先生(湘南藤沢形成外科クリニックR 総院長 / 形成外科専門医)

UVケアのため、多くの方が日焼け止めを使っていると思いますが、みなさんはどうやって日焼け止めを選んでいますか?
ここでは、そんな日焼け止めの効果や選び方について解説します!

紫外線については、こちらのコラムで解説しています。

監修:山下 理絵 先生(湘南藤沢形成外科クリニックR 総院長)

日焼け止めを知ろう!

ちゃんと知ってる?SPF値とPA値

みなさん、日焼け止めを買うときに、どういうポイントで選んでいますか?下のグラフは、2019年に光老化啓発プロジェクトのホームページにて行われたアンケートの「日焼け止めを選ぶときに重視しているもの」の集計結果です。

参照元リンク:https://www.hikari-rouka.org/column/column20191129/
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化粧品として大切な「使用感」も多くの方がポイントとして挙げていますが、SPF値・PA値といった「紫外線をどれだけ防げるか」を重視している方が多いことがわかります。では、SPFやPAとは、具体的に何を示しているのかご存じですか?
日本では、日本化粧品工業連合会の測定法基準(2003年に改訂)に基づいて、SPFやPAの測定や表記が行われています。
※この基準は、国によっても差があるため、海外では表示義務のない国や測定方法が異なる場合もあります。

SPF(Sun Protection Factor)とは?

UVBを防ぐ効果。紫外線にあたってから、肌が赤くなるまでの時間をどの程度遅らせることができるかを測定した値です。
SPFは50までの数字であらわし、数字が大きくなるほどUVBを防ぐ効果が高くなります。また、50以上はSPF50+と表示されます。

PA(Protection grade of UVA)とは?

UVAを防ぐ効果。紫外線にあたってから、肌が黒くなるまでの時間をどの程度遅らせることができるかを測定した値です。
PAは数字ではなく[+]から[++++]までの4段階で表示され、+の数が多いほどUVAを防ぐ効果が高くなります。

単にSPF、PAが高ければいいわけでもない?

「紫外線をどれだけ防げるか」が最重要ポイントなら、SPF、PAともに最高値のものを使えばいいじゃない、となるところですよね。ですが、実際には様々なタイプの日焼け止めがあり、シーンや季節、塗る部位にあわせて使い分けられるようになっています。
なぜ、使い分けが必要なのか、どういった基準で使い分ければよいかを一緒に考えていきましょう。

日焼け止めのしくみ

そもそも、日焼け止めってどうやって紫外線を防ぐの?

日焼け止めの使い分けを考えるまえに、ぜひ知っておきたいこと。それは、日焼け止めの紫外線を防ぐ方法です。

大きく分けて2つの方法があり、ひとつは紫外線を肌の表面で反射・散乱させる紫外線散乱剤、そしてもう一つは紫外線を吸収させて肌に届かないようにする紫外線吸収剤です。散乱剤と吸収剤のどちらが良い、というわけではなく、それぞれにメリット・デメリットがあり、その特徴を把握しておくと使用シーンや自分のお肌に合った製品を選びやすくなります。また、散乱剤や吸収剤の良いところをあわせ、両方が配合されている日焼け止めも多くありますので、気になる場合は成分をチェックしてみてください。

紫外線散乱剤(反射剤)

紫外線を反射する細かい粒子をベール状に敷き詰めることで、まるでカーテンをするように紫外線が肌まで届かないようにする方法です。
酸化亜鉛、酸化チタンなどの白色の微粒子が使われるため、白浮きしやすいのが難点。ですが、肌への刺激が少ないことから、敏感肌の方や赤ちゃんでも使えます。高配合にすると、使用感の悪さや白浮きが強くなるため、散乱剤だけで高いSPF・PA値の製品をつくることが難しいとされていました。ですが、最近では粒子をナノ化した白浮きしにくい原料や、粒子の形状やサイズを変えることで、近赤外線やブルーライトへの対策ができる原料も開発されています。
このような、紫外線散乱剤だけで作られた日焼け止めを「ノンケミカル」と呼びます。

紫外線吸収剤

紫外線を肌の上で吸収し、熱エネルギーに変換することで、紫外線が肌に届くことを防ぎます。吸収剤の利点は、紫外線の防止効果が高いことと、原料が透明なので塗っても白浮きしないことです。また、伸びが良くサラッとした使用感が特長のため、ボディなど広い範囲に塗るときに向いています。
半面、有機化合物である吸収剤そのものや、熱エネルギーに変換される化学変化の反応により、肌に刺激となる場合も。最近では、吸収剤を皮膜でコーティングし、刺激を抑える工夫をしている原料もあります。
成分名としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルやt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン-3などが多くの日焼け止めで使われています。

日焼け止めの選び方

目的に合わせて日焼け止めを選ぼう!

紫外線対策を行うなら、日焼け止めを使う前に知っておいてほしいことが以下の4点です。

1. UVA・UVBの両方、できれば近赤外線(NIR)にも有効なものを選ぶ

2. SPFは15以上、PAは+以上のものを使う

3. 少し厚塗りになるように塗る(量の目安は0.8g程度です)

4. 汗で流れたりしたら、塗りなおしをする(特に春夏の晴天時、1日2回、朝と昼過ぎに塗り直すと良いでしょう。)

※参考:光老化啓発プロジェクト ホームページより

日焼け止めを選ぶポイント

肌の光老化を防ぐための近道は、日焼け止めを365日かかさず使うことが大切!そのために、季節やシーン、塗る部位に合わせて日焼け止めをいくつか使い分けるとよいでしょう。
とはいえ、たくさんの日焼け止めの中から選ぶのもひと苦労…。こんな時、いくつかのポイントをおさえておくと、グッと選びやすくなります。ここでは、そのポイントをご紹介します。

・SPF・PA値

紫外線を浴びる時間、紫外線の強さを考え選びましょう。(下表参照)

参照元リンク:https://www.jcia.org/user/public/uv/prevent
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・どんな剤形か(ローション、ミルク、ジェルなど)

好みがわかれるので、基本的には使いやすいものを。ボディなど広範囲に塗るときには、伸びの良いローションやジェル、化粧下地など保湿効果がほしい時はミルクやクリームが適しています。

・汗をかく、水にぬれるシーンで使うか

海やプール、屋外でのスポーツなど、汗をかいたり水にぬれたりする場合は、落ちにくいウォータープルーフを選ぶようにしましょう。ただし、落ちにくいということは、落とすときも大変です。専用のクレンジング剤を使用するか、クレンジング効果のある洗浄料でしっかりと洗い流しましょう。

・ノンケミカルかどうか

肌が敏感な方や、小さなお子様が使う場合、レーザー治療後などの肌がデリケートな時期は、肌への負担が少ないノンケミカル(紫外線吸収剤フリー)がおすすめです。また、石鹸でさっと落ちるタイプを選ぶと、落とすときの肌への負担をさらに軽減できます。

・近赤外線、ブルーライトも防げるか

今までは紫外線だけが肌に悪いとされていましたが、近年の研究では近赤外線やブルーライトなども肌や目の老化に影響するという報告もあります。UVAよりも波長が長く、肌の深くまで届くこと、パソコンやスマホなどの画面による光でも影響が懸念されることから、外出しない日や普段使いする日焼け止めにこそ、紫外線以外の光も防げる商品を選ぶようにしましょう。

・UV防御「以外」の効果

今はさまざまな日焼け止めがあり、紫外線を防ぎつつ美白やトーンアップ効果のある商品などがあります。特に抗酸化成分は、万が一紫外線にあたってしまっても、その影響を少なくしてくれる働きがあるので、おすすめです。

・サンプル(試供品)があるか

自分の肌に合うかどうか、つけ心地がどうか、香りがイヤじゃないか、白くならないのか、などを確認する方法として、サンプルを使ってから購入されることをおすすめします。試しに手の甲に塗るのと顔に塗るのでは、かなり印象が違うことも。できればサンプルはお顔で試しましょう。化粧品専門店、エステ、美容クリニックなどで販売している日焼け止めはサンプルを用意してある商品も多くあります。

まとめ

技術の進化とともに、化粧品の使用感や機能は日々よくなっています。若いころから同じ商品しか使っていないという方は、色々なものを試してみるのも良いかもしれませんね。

リンク:日本化粧品工業連合会 https://www.jcia.org/user/public/uv/prevent

尚、この後さらに詳しく知りたい方のために、ミニコラムを2つ掲載しています。ぜひ、そちらも読んでみてください!

ミニコラム①
近赤外線もブロックするフラーレン※配合の日焼け止め

紫外線カットはもちろん、近赤外線やブルーライトの影響からも肌を守る、医療機関専売の日焼け止めです。
フラーレン※をはじめ、5種の抗酸化成分と21種の美容成分配合で、お肌を外と内の両面から守ってくれます。
※製品の抗酸化剤

(左)プラスリストア UVローション [SPF50+ PA++++] 30ml 2,800円+税
汗や水に強く、伸びの良いローションタイプ。
紫外線を徹底防御したいときに。

(右)プラスリストア UVミルク[SPF30 PA++] 30g 2,800円
しっとりとうるおうミルクで、化粧下地としてもお使いいただけます。
石鹸で落とせるノンケミカルタイプ。

※プラスリストア®シリーズは、医療機関様でお買い求めいただく製品です。個人のお客様への直接販売はしておりませんので、ご了承ください。
※お取り扱い医療機関は、以下リンクからお探しいただけます。なお、実際の在庫状況につきましては、直接医療機関へお問い合わせください。
プラスリストア®お取扱い施設検索はこちら

ミニコラム②
飲む日焼け止めってどういうもの?

ここ数年、色々なメーカーから出されている飲む日焼け止め。これっていったいどういうものなのかを少しだけ解説します。

まず、飲む日焼け止めには、きわめて抗酸化力の高い成分(抗酸化剤)が配合されています。紫外線を浴びると、体内にフリーラジカル(活性酸素など)と呼ばれる毒性の高い物質が生成されます。それが細胞や組織にダメージを与えることで、肌ではシミやシワ、ニキビなどの原因になります。そのフリーラジカルを速やかにキャッチし、中和するのが抗酸化剤の役割です。

とはいえ、紫外線そのものを防ぐわけではないので、飲む日焼け止めだけでは十分ではないといえます。全米皮膚科学会(American Academy of Dermatology)は、飲む日焼け止めは、塗る日焼け止めの代替品にはなりえないという警鐘を鳴らしています。塗る日焼け止めでは、科学的に証明されている皮膚がんや光老化のリスク軽減の作用が、飲む日焼け止めで十分に立証されていないことが理由です。

リンク https://time.com/5288339/fda-sunscreen-pills/

ちなみに、食品に含まれる抗酸化剤として有名なものには、赤ワインなどに含まれるポリフェノールや、緑茶に含まれるカテキン、レモンに含まれるビタミンCなど、さまざまあります。これらが流行した理由は、健康や抗老化が期待できる!というものでしたね。つまり、抗酸化剤を摂取することは、紫外線対策だけでなく、身体に、肌に良いということ。飲む日焼け止めには美白成分や美肌成分が含まれている商品もあるので、塗る日焼け止めとセットで試してみてはいかがでしょう?

(美容医療のあれこれ 編集部)

     

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