社長が解説

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美容医療を受けるなら知っておきたい基礎知識⑤美容医療で用いられるレーザーの種類

サイト運営会社 株式会社ジェイメックの社長でありながら、機械好きが高じて博士号(理学)を取ってしまった、西村社長自らが解説!こちらのコラムは、シリーズ形式でお届けいたします。

第5回である今回は、美容医療で用いられるレーザーの種類についてお話しします。

美容医療で用いられるレーザーにも種類があるの?

前回のコラムの最後に、美容医療に用いられるレーザー機器のおおまかな仕組みとして、ターゲットとするものがよく吸収する波長をもつレーザーを選び、ターゲットにレーザーの光エネルギーを吸収させ、そこで熱エネルギーに変換させて、ターゲットそのもの、もしくはその周囲の組織だけの温度を上げて、破壊、またはダメージを与える。という流れを紹介しました。

熱で特定のターゲットにダメージを与える、といっても、ダメージの与え方もいろいろあります。レーザーは波長、照射時間、エネルギー量の組み合わせで、与えるダメージの部位、度合いが変わってくるのです。今回は、この辺りについて詳しく説明します。

美容医療で用いられるレーザーの種類
その①照射時間=パルス幅について

美容レーザーでは電球のように一度ONにすると連続して光続けるタイプの光ではなく、車の点滅するウインカーのようにON/OFFがある光を使用します。同じ部位に連続して照射し続けると、その部位の温度がどんどん上がっていき、特定のターゲットどころか、照射部位全体を損傷(やけど)させてしまうからです。

そこで1発、1発、ゆっくり部位を変えて照射して皮膚の反応を確認しつつ、照射エネルギーを調整しながら、その疾患部位(シミなど)をちょうどよい加減で損傷させるのです。この1発の照射をパルス照射といい、1パルスの照射時間を「パルス幅」と呼びます。

では、パルス幅はダメージの与え方にどのような関係があるのでしょう?

これはお料理でお肉を焼くときをイメージするとわかりやすいかもしれません。強火で短時間焼くと、表面だけがパリッとよく焼けますね。また、弱火で長い時間焼くと、中までしっかりと火が通ります。最終的に与えている熱量(エネルギー量)が同じでも、焼く時間によって熱の入り方、レアからミディアム、ウェルダンというようにお肉の焼き加減が変わることがわかると思います。

レーザーでは、この調理時間がパルス幅にあたります。そして、それは破壊したい組織や構造物の大きさによって、その長さが変わってきます。行いたい治療によって、どう加熱するのが適しているかを選び、レーザーの種類を選択します。

西村社長のマメ知識①
パルス幅を「料理の火加減」で理解してみよう

レーザーの照射時間「パルス幅」。なかなかイメージしにくいために、パルス幅を説明するときには、先ほどの解説にも用いた通り、多くの人がイメージしやすい「料理の火加減」をたとえ話として使うことがあります。もう少し詳しくお話ししましょう。

ステーキレストランでは注文時によく焼き方を尋ねられますが、レア~ベリーレアと答えた場合、強めの火加減で短く調理したものが出てきます。強めの火加減で短い時間で焼くと、熱が内部に十分伝わる前に調理を止めてしまうので、肉の表面だけが焦げます。これは、レーザーでいうショートパルス(Qスイッチやピコレーザー)のイメージに近いと考えています。

私は血の滴るような生肉は苦手ですので、トランプ大統領と同じ、良く焼きのウェルダンを頼みます。この場合は弱火で長めに焼いて火を通す、つまり炎からの熱エネルギーがフライパンに伝わり、さらに肉の表面に熱が伝わり、そして肉の内側へと順番に伝わっていきますが、弱火ですので肉の表面が焦げるほど高温にならず、中まで火が通ったウェルダンが出来上がるのです。これはレーザーの「ロングパルス」に近いイメージです。

なんとなくお分かりいただけましたか?

西村社長のマメ知識②
パルス幅とレーザーの名称

本文中で紹介した、「Qスイッチやピコレーザー」、「ロングパルス」について、その特徴を表にまとめました。参考にしてください。

美容医療で用いられるレーザーの種類
その②波長について

もう一つの重要な要素が「波長」です。メラニンや赤血球、肌の水分といった、特定のターゲットだけに届かせる、と先ほどお伝えしましたが、これは波長によって吸収されやすい組織が違うので、その違いを利用しています。

シミ治療なら、シミのもとであるメラニン顆粒を壊すため、メラニンに吸収されやすい波長のレーザーを用います。また、赤ら顔など血管をターゲットにしたい場合は、血液中に含まれる赤い色素であるヘモグロビンに吸収されやすい波長を用います。ほくろ・いぼを切除するときに使うのは、水分に吸収されやすい波長のレーザーで組織を蒸散させます。

西村社長のマメ知識③
レーザーの選択性を実用レベルまで磨き上げた基礎理論=選択的光熱融解

「選択的光熱融解」とは、1983年にハーバード大学のロックス・アンダーソン教授が考案された理論で、有名な科学雑誌「サイエンス」に掲載されました。「波長、光の照射時間(パルス幅)、単位面積あたりに照射する光エネルギー量の適切な組み合わせによって、生体の限定された領域に光熱分解を生じさせることができる」と3つの要因を定義した、まさにレーザー治療の核となるべき理論です。今日に至っても、技術者たちが新しいレーザーを開発しようとする時、この理論に従って様々な計算を行い、基本となる治療戦略を組み立てています。

次回は…

さて、ここまでのコラムをすべてお読みいただいた皆様、大変お疲れ様でした。おそらく、多くの方が「仕組みはわかったけど、結局なんでレーザーでシミが取れるの?」と思っていることでしょう。

次回は、レーザーによるシミ治療の仕組みについて、詳しく解説します。次回も是非お読みくださいね。

(西村 浩之)

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