ニキビ・ニキビ痕

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【医師監修】クレーター肌とは?原因・セルフケア・治療法について解説

監修医師:田牧 聡志 先生(ティーズクリニック 院長 / 形成外科専門医)

ボコボコとしたへこみがある肌を「クレーター肌」と呼ぶことがあります。クレーター肌を放置すると悪化したり、他の肌トラブルが起きたりする可能性があるため、治療法やケアの方法について確認しておくことが大切です。

この記事では、クレーター肌の症状や原因、種類、セルフケア、治療法などについて詳しく解説します。

監修:田牧 聡志 先生(医療法人社団聡明会 ティーズクリニック 院長)

クレーター肌とは

クレーター肌とは、一般的には毛穴やその周辺の肌が大きくへこんだ状態のことを指すことが多いです。その様子がクレーターのように見えることから、このように呼ばれています。

軽度のものであればセルフケアで改善する可能性があり、またメイクで隠すこともできます。しかし、深い・大きいクレーターはセルフケアでは改善が難しく、メイクではなかなかきれいに隠せません。

クレーター肌の原因

クレーター肌と言えば、ニキビが原因のイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。クレーター肌の原因について詳しく見ていきましょう。

ニキビ肌

クレーター状のニキビ跡は、繰り返すニキビの炎症によって皮膚が損傷を受け、凹凸ができた状態です。主な原因は、間違ったケアやニキビをつぶす行為などです。

多くの場合で肌の奥深くにある真皮層まで影響を及ぼしているため、自然に改善することは期待できません。

ひと口にクレーター肌と言ってもその種類はさまざまで、深部に形成されたものや浅いものなど、肌の損傷の程度によって異なります。クレーター状のニキビ跡の種類は次のとおりです。

アイスピック型

アイスピック型は直径が2mm以下の非常に小さな凹みで、皮膚の表面から細長く伸びていて、先細った形をしており、凹みは真皮の深い部分まで達しています。

ローリング型

直径が4〜5mm以上と比較的大きな楕円形で、緩やかに凹みがある底面がお椀型の形状の凹みです。皮膚内部の組織によって皮膚が引っ張られることで凹みが形成されます。

ボックス型

ボックス型は、円形や楕円形のニキビ跡です。縁が垂直に凹んでおり、周囲の正常な皮膚との境界が明瞭です。またニキビ跡の底部は平らで円形の部分が目立つため、メイクできれいに隠すことができません。

これらの凹みの原因のほとんどは真皮の深部に存在し、またニキビの状態が悪化しやすい、悪化するときにかなり激しく悪くなってしまう人に起こる傾向があります。

ターンオーバーは表皮でのみ起こり、新陳代謝によって皮膚の再生を行いますが、深部である真皮層では再生されないので、自然に改善することはほとんどありません。

毛穴の開き

毛穴の開きは、皮脂に含まれている不飽和脂肪酸も原因の一つであり、不完全な角質を生むことで、毛穴の周りが厚くなったり突起が出ることで目立ちます。主に、間違ったニキビケアやニキビの強い炎症が長引くことで起こることが多いようです。これらを放置すると、凹凸のあるニキビ跡になります。

たるみ

加齢とともに肌の弾力を保つために重要なコラーゲンやヒアルロン酸などが減少し、肌が弾力を失うとたるみが生じるようになります。結果的に毛穴も引き延ばされることにより、毛穴が目立ってクレーター状に見えることがあります。たるみはニキビとは異なり、加齢とともに起きやすくなります。

乾燥

肌が乾燥するとバリア機能が低下し、少しの刺激でも肌トラブルが起こりやすくなります。一度、炎症が長引くと、治癒に時間がかかったり悪化したりするため、肌の奥深くにまでダメージが到達しやすくなります。ニキビ等による炎症が長く続き、肌の奥深くにダメージが到達するとクレーター状の跡が残ります。

クレーター肌のセルフケア

ニキビのクレーター肌は、セルフケアで改善することは難しいと言えます。たるみや乾燥が原因である場合は、適切なケアによって進行を抑えることができる場合もありますが、根本的な解決にはなりません。セルフケアで無理に対処しようとせず、早めに医師に相談することが大切です。クレーター肌のセルフケアについて詳しく見ていきましょう。

紫外線対策

紫外線は肌の細胞にダメージを与え、肌のバリア機能を低下させるため、たるみや乾燥の原因になります。日中は日焼け止めや日傘などで紫外線対策を行うようにしましょう。

保湿ケア

保湿を怠ると肌のバリア機能が低下し、外部からの刺激や乾燥に敏感な肌になり、肌トラブルが起きやすくなります。

スキンケアの基本である保湿は、肌をさまざまな刺激から保護し、肌トラブルを防ぎます。洗顔後だけに限らず、肌の乾燥を感じたらこまめに行うようにしましょう。

保湿ケアには、肌にうるおいを与える化粧水、油分を補給する乳液やクリームなどを使用します。また、毛穴を引き締める成分やニキビ予防成分が含まれた化粧品を使用するのもよいでしょう。

十分な睡眠

ターンオーバーによる皮膚細胞の再生と修復が活発に行われるのは睡眠中だと言われています。毛穴の開大やお肌の状態を整えることで、凹みを見た目上改善する可能性があります。そのため、なるべく同じ時間に起床・就寝するなど、睡眠習慣を整えるようにしましょう。また、室温や湿度を快適に保ち、部屋を薄暗くして早めに寝床に入るなど、睡眠の質を高めることも大切です。

栄養バランスの取れた食事

野菜や果物に多く含まれているビタミン群は、肌のターンオーバーに欠かせません。また、肉類や豆類などから摂れるタンパク質も肌をつくる材料となるので、適度に摂取することが大切です。

このように、栄養バランスの取れた食事は正常な肌状態を維持するのに必要であり、肌の状態を整えるためにも有効だと言えます。

正しい洗顔

正しい洗顔は、肌へのダメージを抑えることにつながります。

  • ぬるま湯で十分にすすぎ、顔の表面の汚れを取り除きます。熱すぎるお湯は肌を乾燥させる原因になるので注意しましょう。
  • 自分の肌タイプに合った洗顔料を手に取り、十分に泡立てます。
  • 泡を顔にやさしく乗せ、指の腹を使って円を描きながらマッサージするように洗います。その際、無理にこすったり引っ張ったりしないようにしてください。
  • 洗顔料が肌に残らないように十分にすすぎます。

洗顔後は乾燥しやすく、デリケートな状態です。なるべく早く保湿ケアをしましょう。

化粧品によるケア

通常のスキンケア用品だけでは、クレーター肌を大きく改善することは難しいと言えます。肌の状態を整えるためには、少なくともターンオーバーを活性化させる効果が期待できる次の成分が含まれたものを使用するといいでしょう。

・ビタミンA……優れた抗酸化力を持ち、健やかな肌へ導く
・ビタミンC誘導体……コラーゲンの合成を促す
・低分子ヒアルロン酸……肌の保湿力を高める
・アスタキサンチン……肌の弾力を高める

また、古い角層細胞を取り除いてターンオーバーを促すピーリングも効果的だとされていますが、肌の奥深くに及ぶクレーターの改善は望めません。しかし美肌効果は期待できるため、定期的に行うことをおすすめします。

クレーター肌のセルフケアの注意点

洗顔、保湿、紫外線対策などのスキンケアを行う際は、肌に優しく触れ、刺激を与えないようにするだけでなく、自分の肌質に合ったものを使用することが大切です。

また、市販されている肌に針を刺すタイプの美容器具は、肌に垂直に刺すのが難しいだけでなく、症状の悪化や感染症のリスクが考えられるなど、セルフ向きではないと言えます。そのため、適切なスキンケアの指導は専門の医師に相談することをお勧めします。

クレーター肌の治療法

 

クレーター肌は、クリニックで治療を受けることで改善が期待できます。クレーター肌の治療法について詳しく見ていきましょう。

マイクロニードル治療

マイクロニードル治療は、超極細な針を使用して肌表面に小さな穴をあけ、真皮層まで刺激を与える美容施術です。肌の治癒力を活性化させることで、コラーゲンやエラスチンの生成を促し、肌のハリや弾力を改善させます。

期待できる効果は、ニキビ跡や毛穴の開き、加齢に伴うタルミや小じわの改善です。また施術後に美容成分を微細な穴に注入することで、美肌効果が高まるとも言われています。

なおマイクロニードル治療は熱刺激がないため、ダウンタイムは1週間程度です。後述する高周波RFの組み合わせ治療をすることでダウンタイムを短くすることができます。

マイクロニードル治療と高周波RFの組み合わせ

高周波RFは肌の深層部を加熱し、代謝やコラーゲンの産生などを促し、美肌効果が期待できます。マイクロニードルの針先からこの高周波RFを照射することで、ピンポイントでアプローチするため、毛穴の開きやシミ、シワなど幅広い肌の悩みに対して有効だとされています。

また麻酔塗布をされることが多く、少ない痛みで治療を受けることができます。高周波RFによる止血効果があるため、ダウンタイムは長くても数日程度です。

フラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーは、レーザーで肌に小さな点状の穴をあけ、真皮層にエネルギーを送り込むことで治癒力を高め、コラーゲンやエラスチンの生成を促す医療レーザーです。シワや肌質の改善にも効果が期待でき、肌を滑らかに整えたい方に適しているとされています。

高出力のレーザーを照射するため、ダウンタイムは約1週間です。

線維芽細胞治療

線維芽細胞治療では、自身の線維芽細胞を専門の施設で培養し、それを直接肌に移植することで細胞を補充します。移植後、肌細胞の増殖が促進され、コラーゲンの生成が促されます。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、肌の表面の古い角質を取り除くことでターンオーバーを促す治療法です。家庭用のピーリング剤よりも強力な薬剤を使用するため、軽度のクレーター肌であれば改善が期待できます。

まとめ

クレーター肌は、セルフケアで改善するには限界があります。クレーター肌ができるような肌の状態では、他にもさまざまなトラブルが起きるおそれがあるため、日常のケアを見直すことが大切です。
クレーター肌に悩んでいる方は、美容医療を行っているクリニックに相談してみるのもいいでしょう。

     

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