脇汗のにおいが気になったことはありませんか?なるべく汗をかかないように気を付けていても、汗を全くかかなくすることは難しいことです。
しかし脇汗はなぜにおうのか、その仕組みを知ることで対策できるかもしれません。また脇汗があまりに気になるなら、医療機関で治療するのもいいでしょう。
この記事では汗の出る仕組みや脇汗がにおう理由、脇汗対策のほか、脇汗の治療法についてもご紹介します。
監修:小宮 美慧 先生(みやざき美容クリニック 院長/外科医)
1.汗が出る仕組みとは
汗は体にある「汗腺」と呼ばれる器官から分泌されます。汗腺には「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類があり、分泌される汗の成分に違いがあります。ここでは2種類の汗腺についてと汗が出る仕組み、脇汗がにおう理由を解説します。
1-1.アポクリン腺
アポクリン腺は主に脇・陰部・乳首・外耳道など限られた部位にある汗腺で、思春期になると性ホルモンの影響で汗の分泌が多くなります。ここから分泌される汗には脂質やタンパク質が含まれており、少しべたつきを感じるという特徴があります。
ワキガ体質の人は、アポクリン線を多くもつ傾向にあり、耳垢が湿っている人はワキガ体質の目安になりますが、程度は様々です。
また、遺伝性もあるので、ご両親や家族内にワキガの人がいると、ご自身もその可能性があります。
1-2.エクリン腺
エクリン腺は体の全身に分布している汗腺で、特に手のひら・足の裏に多く分布しています。エクリン腺から出る汗はさらさらしており、体温を調節する役割を担っています。エクリン腺から出る汗は無臭です。
エクリン線を多くもつ体質を多汗症といいます。
1-3.汗が出る仕組み
気温が高いときや運動をしたときには、皮膚表面の温度や体温が上がります。このとき体温調節をするため、脳にある視床下部という部分が汗腺に汗を出すよう指令を出し汗腺から汗が出てくる仕組みです。
1-4.脇汗が臭くなる原因
汗は基本的には無臭ですが、皮膚表面に存在する常在菌がアポクリン腺の汗に含まれる成分(脂質、たんぱく質、アンモニアなど)を分解することでにおいが生じます。これが脇汗のにおう原因です。
脇に存在する常在菌により分解された汗は、皮脂と混ざり合って酸っぱいにおいが強くなり臭くなります。また、生活習慣の乱れや偏った食事、ストレスなどが原因でにおいが強くなることがあるので注意が必要です。
2.汗が出る要因
汗が出るのは気温だけが理由ではありません。どのような要因で汗が出るのでしょうか。ここでは汗が出る要因について解説します。
2-1.温熱性発汗
温熱性発汗とは、体温調節のためにエクリン腺から出る汗のことを言います。
人間の体は外気温の上昇や激しい運動などで体温が上昇しすぎないよう、エクリン腺から汗を出して体温を下げることで体温を36~37度に保つようになっています。このような温熱性発汗は、全身からの発汗により体温調節を行っています。
2-2.精神性発汗
精神性発汗は不安や緊張状態になったときに出る汗のことを言います。この汗は脇、手のひら、足の裏などの限られた部位から発汗し、エクリン腺、アポクリン腺の両方から分泌されます。
2-3.味覚性発汗
辛い物を食べたときに鼻や額ににじんでくる汗は、味覚性発汗と言います。この汗はエクリン腺から分泌される汗で、味覚の刺激によって出るため食後に落ち着くのが特徴です。
3.脇汗が気になるときの対処法
脇汗が出ると、においだけでなく汗ジミも気になると思います。汗が出ないようにするのは難しいですが、汗が出たら汗ジミがひどくなる前にすぐに対処するといいでしょう。
ここでは脇汗が気になるときの対処法を解説します。
3-1.汗拭きシート
脇汗が気になるなら、汗をかいたときにタオルですぐに拭き取ってください。脇や陰部などアポクリン腺の多い部位は、汗をかくとにおいの原因となりやすいためシャワーで洗い流すといいでしょう。
外出先などでは汗拭きシートを使うのがおすすめです。汗拭きシートは使い捨てなので衛生的に使えて、携帯に便利です。
暑さで汗が出てくる場合は、汗が出る部分をクールダウンできる効果のあるシートを取り入れてみてください。シート自体に香りがついているものもあり、ミントのような爽やかな香りであれば、拭き取った後は体だけでなく気持ちもすっきりするでしょう。
3-2.制汗剤
汗をよくかく人や、においを気にする人には制汗剤がおすすめです。制汗剤は汗とにおいを抑える効果が期待できます。
スプレータイプやロールオンタイプなど、いろいろなタイプのものがあるのが特徴です。においの原因となる菌を殺菌する成分が配合されているものもあり、汗のにおいが気になる人は取り入れるとよいアイテムの一つです。
スプレータイプは肌に吹きかけるとさらっとするパウダー入りなどの工夫がされているため、快適に使えます。ロールオンタイプは肌に直接塗ることで汗のにおいを抑えます。またコンパクトな形状のものが多いので、携帯するのに便利でしょう。
制汗剤によって脇の皮膚が炎症を起こしたり、痒みが出る場合もあります。その際は種類を変えたり、使用頻度を減らしたりすることも必要です。
3-3.汗取りパッド
汗拭きシート、制汗剤で脇汗対策をしていても、服に汗ジミができたり、においが気になったりすることもあるでしょう。その場合は汗取りパッドがおすすめです。
衣服の内側に取り付けるタイプのパッドで、脇汗が大量に出てきてもパッドが汗を吸収するため安心です。汗取りパッドは薄型でシールタイプの使い捨てシートとなっているので、つけ外しが簡単で衛生的です。衣服の汗ジミや黄ばみの対策には脇汗パッドも活用するといいでしょう。
4.脇汗のにおいを予防するには
脇汗が出るとにおいが気になると思います。脇汗をそのまま放っておくと、どんどんにおいが強くなる可能性が。においが強くなる前に予防しましょう。
この記事では脇汗のにおいを予防する方法を紹介します。
4-1.脇を清潔に保つ
菌は汗を分解する際ににおいが発生するので、脇を清潔に保つことが大切です。
シャワーで汗を洗い流したり、難しければタオルや汗拭きシートで拭き取ったりしましょう。ただし、洗いすぎは、皮膚と常在菌のバランスが崩れる原因になるため、注意が必要です。
4-2.食生活を見直す
脇汗のにおいには食生活もかかわっています。特に動物性の脂質を含む食べ物は、摂りすぎないよう注意が必要です。
脂質の多い肉や揚げ物、バターやチーズなどの乳製品などは汗腺の動きを活発にするため、汗のにおいが強まります。摂取する量を調整したり、植物性の油を使ったりと工夫して食事するのがおすすめです。
脇汗対策には、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。また酢や緑茶、ショウガなど体臭対策に効果が期待できる食品も取り入れてみてください。
4-3.脇の脱毛
脇汗のにおいを予防したいなら、脇毛の処理を適切に行うことが大切です。
脇は濃い毛が密集しているため、汗をかくと蒸れやすい部位です。常在菌は湿気の多い環境で繁殖しやすいので、脇の毛を処理しないとにおいが強くなってしまう恐れが。脇の脱毛を行い毛の処理をすれば、蒸れが解消されて、においを抑えることができるでしょう。
4-4.通気性の良い衣服を選ぶ
脇は汗をかきやすい部分なので、通気性の良い衣服を選ぶのもにおいの予防になります。厚手の衣服では脇汗をかきやすく、服に汗ジミを作ってしまいかねません。通気性の良い服をチョイスすることで、脇汗を減らし、においを抑えることにつながります。
また通気性だけでなく、素材も重要です。コットンやリネン、シルクなどは吸汗性や速乾性に優れており、汗をかきやすい季節でも快適に過ごすことができるでしょう。
化学繊維であるポリエステルは通気性があまり優れておらず、においがこもりやすいので、汗が気になる方にはあまりおすすめできません。
4-5.生活習慣を整える
汗はストレスとも強い関係があります。精神的ストレスが強かったり疲労が蓄積したりすると自律神経が乱れる原因に。自律神経の乱れは汗を過剰に分泌させるため、においを強くしてしまう恐れがあるのです。
ストレスを軽減するために、気持ちがリラックスできるアロマや音楽を取り入れてみましょう。また適度な運動や就寝前の入浴は、スムーズな入眠につながるのでおすすめです。
4-6.医療機関での脇汗の治療法とは
こまめに脇汗を拭き取ったり、におい予防を行ったりしても脇汗が気になる方は、医療機関で治療するのがおすすめです。
医療機関でできる脇汗の治療には、塗り薬や飲み薬、注射などメスを使わずに簡単に行える治療があります。また汗腺に熱ダメージを与えて、汗腺の機能を低下させる治療器もあります。治療回数は1~2回で終了し、治療後の痛みも軽度です。
セルフケアだけでは脇汗の対処が難しいと感じるなら、ぜひ医療機関に相談するとよいでしょう。
5.まとめ
脇汗をかくと、においや汗ジミが気になるという方は多いでしょう。セルフケアでの対処も行えますが、汗の量が多かったり、においが強かったりすると脇汗が悩みとなると思います。セルフケアで対処しきれない場合は、医療機関に相談し、自分に合った脇汗の治療法を見つけるのがおすすめです。
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