シミ取りレーザー治療を受けたものの、思っていたほどの効果が現れずに後悔する場合があるかもしれません。しかし中には、失敗だと思っていても、必ずしもそうとは言えないケースがあります。
シミ取りレーザー治療を正しく理解するために、本記事では失敗例や失敗を防ぐための対策などについて詳しく解説します。
監修:黃 聖琥 先生[医療法人社団浜悠会 KO CLINIC & Lab 院長 / 形成外科専門医]
シミ取りレーザーの失敗例
シミ取りレーザーは、シミの原因であるメラニン色素を熱エネルギーで破壊して改善する仕組みです。一般的に、正常な皮膚に影響を及ぼすことがないため、レーザー治療に適したシミへの治療であれば比較的安全な治療方法だと言えます。
しかしながら、場合によってはシミ取りレーザーを受けた結果、次のようなトラブルが起きることがあります。
火傷をした
治療に使用するレーザーはメラニン色素に反応し施術直後は火傷と同じような状態になっているため赤みなどが出現することがありますが、これは正常な反応だと言えます。
しかしレーザーの出力が高すぎた場合、周囲に熱が広がることで火傷に至り、水ぶくれになる可能性もあります。
傷跡が残った
通常、シミ取りレーザーは表皮内の色素に対して照射するため、傷として痕跡が残ることはほとんどありません。しかし、出力が高すぎて火傷を起こした、施術後のアフターケアが十分でなかった、治療後にできたかさぶたを無理に剥がしてしまったなどのケースでは、傷跡(痕)になることがあります。
シミが薄くならなかった
シミ取りレーザーの出力が適切でなかった場合、メラニン色素を十分に破壊しきれずにシミが薄くならないことがあります。
通常は1回の治療でシミを取ることができますが、シミの種類によっては数回治療を行う場合もあります。
また、元々シミが薄い場合はレーザーが十分に反応せず、思ったほどの効果が見られないこともあります。
シミが濃くなった
レーザー治療に適していないシミや、施術後のアフターケア不足による紫外線の影響などもシミが濃くなる原因になることがあります。
また現時点では皮膚の表面に現れていない状態の肝斑を「隠れ肝斑」と言いますが、レーザーを照射することによって悪化し、発生するケースがあります。のちに詳しく解説しますが、レーザー治療による炎症後の色素沈着によりシミがあった場所の色素が一時的に濃くなることもあります。
白斑化した
白斑化とは、シミ取りレーザーを照射した部位の皮膚が白くなったり、かさぶたが剥がれた後に一部分だけ白くなったりするトラブルです。
これは、シミ取りレーザーが色素細胞にダメージを与えることで、本来の皮膚の色を作ることができなくなっていることによります。
この場合、できてしまった白斑への治療が必要になる可能性があるため、医師に相談しましょう。
思っているよりも痛みが強くて途中でやめてしまった
一般的に、シミ取りレーザー照射による痛みは「ゴムに弾かれたような痛み」と表現されることが多いようです。また照射後は施術部位が軽い火傷状態になっているため、ヒリヒリ感じることもあります。
事前のカウンセリングで痛みに関する認識を持つことは大切ですが、痛みの程度は人によって異なります。複数回の照射が必要なシミの場合、痛みに耐えられずに通うのをやめてしまうことがあるかもしれません。
痛みが苦手な方は、麻酔を受けられるかどうか確認してみましょう。
シミ取りレーザーの失敗に思えて失敗ではないケース
シミ取りレーザー治療を受けた結果、失敗と考えられるトラブルが起きたとしても、実際には成功しているケースもあります。
このような誤解を防ぐためにも、失敗に思えて失敗ではないケースについて、詳しく見ていきましょう。
かさぶたができない
多くの場合、シミ取りレーザー治療を受けた部位はかさぶたになり、1週間ほどで剥がれ落ちます。しかし、必ずしもかさぶたができるわけではありません。
例えば、施術箇所がレーザーにより軽度の火傷になっていた場合では、かさぶたではなく薄い膜として現れることがあります。
このほか、シミや使用する機械などによってもかさぶたはできないため、一概に失敗だとは言い切れません。
そのため、まずは様子を見ることが大切です。
ピリピリ・ヒリヒリとする
シミ取りレーザーを受けた後は、ピリピリやヒリヒリとすることがあります。これは、レーザーの熱による刺激が原因であり、失敗ではありません。
数日で落ち着くことが多いため、まずは経過を観察し、症状が改善しない場合は医師に相談しましょう。
シミが再発した(炎症後色素沈着)
レーザーを照射することでダメージを受けた皮膚に炎症が生じ、炎症によって表皮メラノサイトが活性化することで、一時的に患部に色素沈着が生じることがあります。シミ取りレーザーを受けてから1ヵ月~1ヵ月半程度で現れることが多いです。「戻りジミ」と呼ばれることもありますが、レーザーで破壊したシミが再び現れているわけではありません。
レーザーを照射した部位の肌はバリア機能が低下している状態であり、紫外線や摩擦などの刺激から守る目的でメラニン色素を生成するため、シミのようになってしまう身体の正常な反応です。
通常は約3ヵ月から半年程度で自然に消えるとされていますが、体や手足は長くかかることがあります。施術後は十分や保湿や紫外線対策をし、肌への刺激をできる限り抑えて、メラノサイトの活性を抑えるようにしましょう。
シミ取りレーザーの失敗を防ぐためのポイント
シミ取りレーザーによる失敗を防ぎ、後悔しないためにも、次のポイントを押さえましょう。
シミの種類に適したレーザー治療を受ける
ひと口にシミと言っても、その種類や原因はさまざまです。そのためシミ取りレーザー治療を受ける際は、シミの種類に適したレーザー治療を選ぶことが重要です。
治療を行う前に皮膚科医や美容皮膚科医によるカウンセリングを受けることで、肌の状態やシミのタイプを詳しく確認し、それに基づいた最適なレーザーを選択してもらえます。
例えば、シミやそばかすにはルビーレーザーやヤグレーザー、肝斑やくすみに対しては、弱いレーザーを照射し、シミを薄くしていくレーザートーニングが行なわれることが多いようです。
施術前後の注意点を守る
シミ取りレーザーを受ける際は、施術前後の注意点を守ることが重要であり、その後の経過にも影響してきます。
日焼けした肌にレーザーを照射すると、日焼け部分のメラニン色素に反応してしまうことがあり、火傷や色素沈着のリスクが高まります。そのため、施術前の日焼けは避けるようにしましょう。
また、レーザー治療後は肌が乾燥しやすくなるため、十分な紫外線対策や保湿ケアを丁寧に行なってください。
さらに、施術後は少なくとも数日間は激しい運動やサウナなどで体を温めすぎないことも大切です。体を温めると血流が良くなり、照射した部位の炎症が強くなる可能性があります。
肌トラブルが起きたら医師に相談する
シミ取りレーザー治療後に肌トラブルが起きたら、速やかに医師に相談しましょう。赤みやピリピリ、ヒリヒリといった症状であれば問題ありませんが、激しい痛みや出血などがみられた場合は、早めに医師に相談し、必要な処置を受けることが大切です。
シミ取りレーザーの失敗を防ぐための施術前後の注意点
シミ取りレーザーを受けた後の炎症が強くなったり、炎症後色素沈着ができたりするのを防ぐために、次の注意点を守りましょう。
紫外線対策を徹底する
レーザー治療後の肌は敏感な状態のため、紫外線による刺激を受けやすくなっています。また紫外線を受けることで肌を守るためにメラニン色素が大量に生成され、再びシミができるおそれがあります。
紫外線は年間を通じて地上に降り注いでいます。外出の際は季節に関係なく、UVカット機能付きの帽子や日傘、服などで肌を保護するよう心がけましょう。また、日焼け止めをこまめに塗り直したり、日差しが強い日中の外出を控えたりすることも大切です。
丁寧に保湿する
シミ取りレーザー治療後は、患部が乾燥しやすくなります。化粧水や乳液、クリームなどで肌に水分と油分を補給しましょう。保湿剤を塗る際は、肌に刺激を与えないためにも、こすらずに優しくなじませるようにしてください。
保湿剤に含まれる成分には、ヒアルロン酸やセラミドなどがあります。敏感肌の方は低刺激タイプがおすすめです。
激しい運動や飲酒は避ける
シミ取りレーザー治療の前後には、激しい運動や飲酒を控えることが重要です。激しい運動や飲酒は、血行を促進することで術後の炎症を増強させるおそれがあります。
また、体から水分が排出されることで肌が乾燥しやすくなり、バリア機能が低下することも考えられます。
シミ取りレーザーで後悔しないための対策
シミ取りレーザーを受けなければ良かったと後悔しないために、治療を受ける前に次のような対策をすると安心です。
カウンセリングで不明点を解消しておく
カウンセリングでは、治療方法や効果、リスク、予想される結果などについて詳しく説明を受けることができます。そのため、カウンセリングで不明点や疑問点を事前に解消しておくことが重要です。
また、自身の希望や期待を伝えておくと、より理想的な治療法の提案を受けられる可能性があります。不明点や疑問点を伝え、納得した上で治療法を選択しましょう。
テスト照射を受ける
シミ取りレーザー治療を受ける前には、テスト照射を実施することがあります。
テスト照射は希望する治療箇所より少ない箇所、または1か所に行い、皮膚の反応や痛みの感じ方を確認することができます。また、照射後の皮膚の状態や炎症の程度を確認し、自身の皮膚が治療に適しているかどうかを判断することも可能です。
なお、テスト照射後の観察期間には1ヶ月前後の時間が必要です。すぐに治療に入ることはできないので、治療には時間的な余裕を持つようにしてください。
痛みが気になる場合は表面麻酔をしてもらう
シミ取りレーザー治療は、無麻酔、もしくは氷冷のみで治療を行う場合が多いです。痛みに敏感な方や不安を感じる方は、表面麻酔ができないか確認しておきましょう。
表面麻酔は、麻酔クリームやテープを用います。注射や点滴は必要がないため、注射針に抵抗がある人でも安心です。
治療中の痛みを軽減できれば、より快適にシミ取りレーザー治療を受けられるでしょう。
まとめ
シミ取りレーザーを受けたものの、シミが薄くならなかったり逆に濃くなったりする場合があります。このような失敗は、事前のカウンセリングでシミの種類を医師が確認し、適切な種類のレーザー機器を適切な出力で使用すれば、リスクを大きく軽減できます。
シミ取りレーザーを検討する際は、実績が豊富で、十分な知識と技術を持つ医師がいるクリニックに相談するのが安心です。
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