年齢を重ねるとシワが少しずつ目立ってきます。シワができると一気に老けて見えてしまうため、できてしまったシワをどうにかしたいと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
シワにお悩みなら美容医療での治療がおすすめです。この記事ではシワの原因や種類、シワ治療の定番であるボツリヌストキシン注入、ヒアルロン酸注入について詳しく解説します。
監修:慶田 朋子 先生 (銀座ケイスキンクリニック 院長 / 皮膚科専門医)
1.シワの原因や種類
シワの原因のひとつに、加齢が挙げられます。加齢によりコラーゲン線維やエラスチン線維が減少し、顔の脂肪も減ることにより、肌のたるみやシワとなってあらわれます。
また紫外線もシワの原因の一つです。紫外線は皮膚の骨格とも言えるコラーゲン線維の分解を加速させ、弾力のもとであるエラスチン線維にダメージを与えるため、肌のハリの低下やたるみ、シワにつながります。このように紫外線などの太陽光による加齢症状を光老化と呼びます。
また、表情のクセもシワの原因となります。特に目元、口元、眉間などよく動かす部分は表情ジワができやすい部位です。
さらに、肌の乾燥も小ジワの原因となります。肌の水分と油分が減少すると、角層のバリア機能を低下させて軽微な刺激をきっかけに炎症が生じます。目に見えないレベルの微小炎症が続くと、コラーゲン線維が減って細かいシワができてしまいます。乾燥によるシワ対策にはスキンケアでしっかりと保湿し、シワ対策効果のあるスキンケアアイテムを取り入れることが大切です。しかし、肌を叩いたりこすったりするようなスキンケアの仕方は、肌バリアを傷つけ、シワが生じる原因となるため、注意しましょう。
シワには大きく2種類あり、浅いシワと深いシワに分けられます。浅いシワは「ちりめんジワ」「小じわ」「表情ジワ」とも呼ばれます。深いシワはほうれい線やマリオネットラインなど、顔に深く刻まれるタイプのシワのことをいいます。浅いシワも放置すると深いシワに変化してしまいます。
2.シワを治療するには?
先ほどご紹介した通り、シワの原因は様々です。加齢は避けて通れませんが、紫外線や乾燥、表情のクセなどは対策が可能です。深いシワが刻まれる前に対処することを心がけましょう。
もしすでにシワができていて気になる場合は、美容医療に頼るのもおすすめです。ここでは美容医療で行えるシワの治療法をご紹介します。
2-1.レーザー治療
レーザー治療は、皮膚にレーザーを照射することにより真皮層のコラーゲン線維を増やしたり、皮膚の再生を活性化させたりすることで浅いシワの改善が期待できます。レーザーのターゲット層は表皮から真皮なので、目元や口元の小じわや全体のハリの低下が気になる方におすすめの治療法です。
2-2.高周波治療
高周波治療は、高周波による熱を皮膚の奥に加えてたるみやシワを改善する治療法です。対極板を貼って一方向に高周波を流すモノポーラタイプの照射機器の場合、真皮~筋膜まで熱を加えることにより、コラーゲン線維が収縮し主に脂肪層が立体的に引き締まるため、脂肪のだぶつきの改善が期待できます。加齢による大顏化現象をくい止め、たるみによる深いシワが目立ちにくくなります。施術後の赤みや腫れなどダウンタイムがほとんどないため人気の治療です。
2-3.超音波治療HIFU
超音波のエネルギーを点状に集約させ、強い熱でコラーゲン線維を収縮させたるみを改善する治療法です。スマス層、脂肪層、真皮の三層に無数の凝固点を作ることにより、リフトアップ効果が期待できます。施術中の痛みがネックになりますが、ダウンタイムがほとんどなく、効果と持続期間が長いのでリピーターが多い治療です。効果実感はマシンのレベルと技術により違いがでます。
2-4.ボツリヌストキシン製剤注射
筋肉を動かす時、神経の末端からアセチルコリンという伝達物質が放出され、脳からの刺激が筋肉に伝わって、筋肉が動きます。表情を作るときも同じ仕組みで筋肉(表情筋)を動かしています。先にシワの原因として表情のクセを紹介しましたが、表情筋のクセも時間が経つにつれてシワとなって刻まれてしまいます。ボツリヌストキシン製剤注射は、神経からアセチルコリンが出るのを抑え、筋肉の過剰な動きを和らげることによりシワを軽減させます。
シワ治療の中では不動の人気を誇る治療であり、早くから治療を始めれば予防効果も得られる治療法です。詳しい治療内容は後ほど解説します。
2-5.ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸はボツリヌストキシン注入と同様にメスを使わないシワ治療であり、こちらもシワ治療の定番です。加齢などで減少した部位にヒアルロン酸製剤を注入し、肌をふっくらさせたりリフトアップさせたりして、シワを改善する治療となります。詳しい治療内容は後ほど解説します。
2-6. 糸によるリフトアップ治療
糸によるリフトアップ治療は、皮下に糸を挿入して物理的に引き上げる治療法です。挿入した糸は、体内で徐々に溶けていきますが、周囲にコラーゲンやエラスチンが新しく作られます。
施術後は内出血、痛み、ひきつれなどが生じる可能性がありますが、切らないリフトアップの中では効果が高く、持続期間が長めの治療です。垂れ下がった脂肪を引き上げる効果があるため、治療後は即効性を感じられます。やせ型で皮膚のたるみが顕著な場合は皮膚の表面にドレープが寄ったようになる場合もあり、適応を選ぶ必要があります。また、挿入した糸は簡単に除去できないため、上級者向きの治療と言えます。
3.ボツリヌストキシン注入について詳しく解説
シワ治療の中でも、ボツリヌストキシン注入は定番の治療法です。表情ジワが目立つ場合は医師に相談すると良いでしょう。
ここではボツリヌストキシン注入について、注入部位や持続期間、副作用などを詳しく解説します。
3-1.注射部位や効果、持続期間
ボツリヌストキシン注入は額、眉間、鼻根、鼻筋、目尻、口唇上、顎など表情ジワの目立つ部位に注射します。表情筋をよく使う部位が適応となりますが、このほかにもエラやフェイスラインに注入することでシワ改善以外の美容効果を得ることができます。
例えばエラに注射すると咬筋が小さくなるので小顔効果が期待でき、フェイスラインに注射すると軽いリフトアップ効果が得られます。
また顔だけでなく肩やわきの下にも注射することがあり、僧帽筋の緊張を緩めることで肩こりを解消したり、わき汗を止めたりする効果を得られます。
ボツリヌストキシン注射後は2~3日で効果を実感し、10日後に効果が最大となり、3~6か月程度持続します。効果は徐々に失われていくので、シワが気になる人は定期的に治療を受けることをおすすめします。
3-2.こんな人におすすめ
ボツリヌストキシン注射は、笑ったり顔をしかめたりするときにできる表情ジワに効果的なシワ治療です。そのため目尻のシワや額の横ジワ、眉間のシワなどの表情ジワが気になる人におすすめです。
シワの改善だけでなく新たなシワ予防も期待できるので、定期的に治療を行うことでシワの気にならない肌を保てるでしょう。またシワ以外にも、エラが目立つ顔立ちの人には筋肉の緊張を和らげ、エラを目立たなくする効果が期待できるので、顔の大きさや歯ぎしりが気になる人にもおすすめです。
3-3.副作用や注意事項
ボツリヌストキシン注射後は、治療部位をもんだりこすったりしないよう注意が必要です。副作用として注入部位に痛みや腫れ、内出血が出ることがありますが、数日で消失するので気になっても触らないようにしましょう。医師の解剖学的知識不足で、目的外の筋肉に薬剤が作用してしまうと表情喪失、人相の変化、眼瞼下垂、口元の歪み、閉眼障害、閉口障害など重篤な副作用が生じます。この場合、薬剤の効果が減弱するまで、約3か月間待つしかありません。経験豊富な医師を選択するように注意してください。
治療後は、内出血予防のため、施術当日は飲酒、激しい運動やサウナ、長風呂に入ったりすることは控えてください。
4.ヒアルロン酸注入について詳しく解説
ヒアルロン酸注入は、ボツリヌストキシン注射と同様に定番の治療法です。深いシワを1回で確実に目立たなくしたい方におすすめです。
ここではヒアルロン酸注入の効果、持続期間、副作用などを詳しく解説します。
4-1.注入部位や効果、持続期間
ヒアルロン酸注入は、架橋剤でジェル状になったヒアルロン酸製剤を注入し、シワを改善する治療です。ヒアルロン酸は体の中にも存在する成分で、肌のみずみずしさやハリ、弾力を保つ働きがあります。しかし、加齢とともに真皮内のヒアルロン酸が減少してくることで、肌のハリや弾力が低下します。また、骨と脂肪が萎縮すると深いシワやたるみなどの老化の症状があらわれやすくなるのです。
ボリュームが減少した部位にヒアルロン酸製剤を注入することで、肌のハリや弾力などを改善し、シワや影を目立たなくすることができます。注入部位は額、こめかみ、目の下、頬、ほうれい線、マリオネットライン、顎など加齢によってボリュームが減りやすい部位が対象です。
注入されたヒアルロン酸は、体内で分解吸収されてしだいに効果が薄れていくため、持続期間は1~2年程度ですが、周囲にコラーゲン線維が再生するため若返り効果は製剤の持続期間より少し長くなります。
4-2.こんな人におすすめ
ヒアルロン酸は肌の潤いやボリュームを増やすことができるので、深いシワや凹み、影を改善する効果が期待できます。もともと体内に存在する成分のためアレルギー反応が起こることはまれであり、溶解酵素もあるので、シワ治療初心者に受けいれやすい治療といえるでしょう。即効性が高く、持続期間も長いため満足度は高い治療です。ただし、後述するように、安易に受けるには注意が必要です。
4-3.副作用や注意事項
副作用として注入部位の発赤や内出血、浮腫みが見られます。内出血は2週間程度で自然に消えていきます。また、ヒアルロン酸は吸水性が高いので、注入エリアの浮腫みや、神経圧迫症状などが生じる場合もありますが、徐々に落ち着いていきます。
ヒアルロン酸注入後のトラブルとしては、イメージと違う、凸凹している、不自然な顔貌になったなど仕上がりの悪さが挙げられ、注入する医師のセンスが問われます。カウンセリング時には医師としっかりイメージをすり合わせておくことが大切です。
重篤な副作用としては、血管内への誤注入による血管塞栓と皮膚壊死、失明です。これは医師の解剖学的知識と技術レベルで発生リスクが異なるため、ヒアルロン酸注入は経験豊富な医師のもとでのみ受けるようにしてください。また、製剤によっては半年以上経ってから遅延型異物肉芽腫を生じ、石のように硬くしこる場合があります。このような場合にも迅速に対処できる知識のある医師を選択しましょう。
5.まとめ
シワは加齢や紫外線、乾燥などによりできてしまい、シワができると老けて見られやすくなります。シワが気になる人はしっかりと紫外線対策や乾燥対策を行い、深いシワは美容皮膚科への相談をおすすめします。
美容医療初心者には高周波や超音波による照射治療がおすすめです。その上で、注射注入治療にステップアップすると良いでしょう。
ボツリヌストキシン注入やヒアルロン酸注入など、定番のシワ治療は初心者でも受けやすく、痛みや副作用などが少なめですが、医師による仕上がりの差や副作用のリスクの差が大きく、手術同様、慎重に医師選びをしてください。
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