毛穴

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【医師監修】すり鉢毛穴とは? 原因から予防法まで詳しく解説

監修医師:立川 量子 先生(セイコメディカルビューティクリニック 福岡院 院長 / 皮膚科専門医)

毛包開口部分が大きくなり、毛孔部周囲がすり鉢のようにへこんでいる毛穴を、一般に「すり鉢毛穴」と呼びます。

この記事では、すり鉢毛穴の概要や発生する原因、予防法や発生時の対処法などについて解説します。また、すり鉢毛穴と似ている毛穴のトラブルや肌トラブルの治療法などについても取り上げているので、ぜひ参考にしてください。

監修:セイコメディカルビューティクリニック 福岡院 院長 立川 量子 先生

すり鉢毛穴とは

毛穴の悩みはいくつかのタイプに分けることができます。その中のひとつに、「すり鉢毛穴」と呼ばれるものがあります。その名のとおり毛穴がすり鉢状になってしまった状態で、主に頬や鼻に見られます。

そのまま放置しておくとやがて大きなへこみとなり、クレーターのように見えるようになるおそれがあるため、そうなる前に早めにケアや予防することが大切です。

すり鉢毛穴ができる理由

毛穴が詰まった状態や過剰な皮脂分泌が続くと、不飽和脂肪酸が増えます皮脂中に増加した不飽和脂肪酸が引き起こす炎症により毛穴が開き、すり鉢状毛穴になるとされています。

また、不飽和脂肪酸による皮膚の炎症は、ターンオーバーの乱れに加え、角質が未熟な状態で表に出てきてしまう不全角化などを引き起こします。これらが毛穴周辺の皮膚を盛り上がらせてしまうためでこぼこになりやすく、さらに毛穴が目立つようになります。

すり鉢毛穴ができやすい場所

すり鉢毛穴は顔、特に額や眉間、顎、口周辺、鼻、頬の内側などのいわゆる「Tゾーン」にできやすいとされています。

その理由として、この部分は特に皮脂腺が発達しており、皮脂が過剰分泌しやすいことが挙げられます。過剰に分泌した皮脂は、毛穴の広がりだけでなく、角栓ができる原因にもなります。角栓は酸化することで黒ずんだりニキビにつながったりするなど、肌に悪影響を及ぼします。

すり鉢毛穴だけでなく角栓を防ぐためにも、Tゾーンの手入れは入念に行うようにしましょう。

すり鉢毛穴と勘違いしやすい毛穴のトラブル

すり鉢毛穴以外にも、毛穴にはさまざまなトラブルが起こります。場合によっては、間違った対処法をすることで、悪化することがあるかもしれません。

そのような事態を防ぐため、ここではすり鉢毛穴と似ている毛穴トラブルについて解説します。

(1)詰まり毛穴

その名のとおり、毛穴が詰まっている状態のことです。過剰に分泌した皮脂が毛穴に溜まり、古い角質と混ざることで毛穴を塞ぎます。

皮脂の分泌が盛んになることに加え、ストレスや睡眠不足が原因で角質が厚くなると、毛穴はすぐに詰まってしまいます。すると、角栓ができる原因になるだけでなく、酸化することで硬く黒ずむおそれもあります。

この状態になるとセルフケアでの対処が難しくなるため、毛穴が普段からこまめにケアをして、毛穴が詰まらないようにすることが大切です。

(2)開き毛穴

詰まり毛穴とは反対に、開いた状態の毛穴のことを「開き毛穴」と呼びます。すり鉢毛穴と同じく、主にTゾーンや頬によく見られます。

原因は皮脂の過剰な分泌であり、脂性肌の人や男性に多いとされています。毛穴の皮脂を取り除いても、開いた状態のままであることも少なくありません。

また、角栓を自分で無理やり取り除くことは避けましょう。

(3)乾燥毛穴

真皮は、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどを含む弾力のある肌組織です。
この真皮が乾燥することで肌のキメが乱れ、毛穴周辺がへこんだように見える状態が乾燥毛穴です。

洗顔をした後に肌がつっぱっているような感覚がある、冬になると毛穴が目立つといった場合は、乾燥毛穴の可能性があります。保湿をしっかり行うなど、ケアに取り組みましょう。

(4)たるみ毛穴

皮膚のコラーゲン減少や顔の筋肉機能が低下すると、本来であれば円形の毛穴が楕円形に見えることがあります。このような状態の毛穴を、たるみ毛穴と呼びます。

先述のとおり、肌の弾力(ハリ)は真皮にあるコラーゲンやエラスチンなどに関係しています。しかし加齢とともにこれらの物質は減少していき、肌は弾力を失って徐々に伸びていってしまいます。すると毛穴が楕円形となり、毛穴同士がつながったように見えます。

たるみ毛穴は主に頬の内側にできますが、すり鉢毛穴と同じような部位にできることもあるため、見分け方が難しいかもしれません。そのようなときは、目尻を斜め上に引っ張ってみてください。その際、皮膚の毛穴が目立たなくなればたるみ毛穴です。

すり鉢毛穴の予防方法

すり鉢毛穴の予防は、普段のケアだけでなく、日常生活にも注意することが大切です。
とは言っても特別なことは必要ありません。誰でも簡単に取り組めるので、ぜひ実行してみてください。

クレンジング、洗顔、保湿をしっかりと行う

すり鉢毛穴を防ぐためには、肌ケアの基本でもあるクレンジング、洗顔、保湿をしっかり行うことが大切です。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

クレンジング

皮脂の詰まりやメイク汚れが残った状態で毛穴を放置しておくと、やがてそれらが酸化して肌にダメージを与えてしまいます。そのため、クレンジングによってこれらの汚れを取り除くことが重要です。
すり鉢毛穴になっている場合、すでに毛穴の開口部分が炎症を起こしているため、刺激を与えないようにクレンジングすることが大切です。メイクをしっかりとしている場合を除いて、洗浄力が高い界面活性剤が入っているクレンジングオイルは避け、低刺激のものを使用するようにしましょう。

洗顔

洗顔は朝と晩の2回、刺激を与えすぎないように、優しく行うことがポイントです。洗顔をしすぎてしまうと、皮脂が必要以上に洗い流され、肌の乾燥を招きます。
また、洗顔後はすすぎ残しがないように、隅々までしっかりと洗い流し、タオルで水分を優しく拭き取ってください。

保湿

洗顔後は、保湿を行ってください。すり鉢毛穴のようなダメージを受けている毛穴は、バリア機能が低下しており、保湿成分が失われて乾燥した状態です。そのため、肌に水分をしっかりと与え、毛穴を潤わせてあげましょう。
また毛穴の水分量が増えることで、周囲の肌もふっくらするなど、毛穴が目立ちにくくなります。ぜひ保湿までしっかりと行うようにしてください。

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食事に注意する

肌は食生活の影響を受けます。そのため、バランスの良い食事を心がけることで、すり鉢毛穴の予防につながることもあります。
例えばたんぱく質は、肌や髪をつくる基礎となる栄養素で、卵や肉、魚、大豆製品などに含まれています。また、レバーや緑黄色野菜などに含まれるビタミンAは、皮膚の健康状態を保つために欠かせません。そのほかにも、皮膚の健康状態の維持に役立つビタミンB群、コラーゲンを増生する役割を持つビタミンCなど、健康的な肌づくりにはさまざまな栄養素が関係しています。

日常生活が忙しいと、ついついインスタント食品やコンビニ弁当などで済ませてしまう人もいるかもしれませんが、できるだけバランスを意識した食事をするようにしましょう。それが難しい場合は、サプリメントを一緒にとることもおすすめです。

サプリメントは、食事だけでは摂取しきれない栄養素を手軽に摂取できます。例えば、鉄や亜鉛は肌トラブルを回避するために欠かせない栄養素ですが、吸収率が低く、食事だけではカバーするのが難しいとされています。そこでサプリメントを活用すれば、不足した栄養素を効率よく取り入れることができます。

化粧品を使う

すり鉢毛穴の予防に効果的な成分を、化粧品で補うのもひとつの方法です。

例えば、ビタミンC誘導体には皮脂の過剰分泌を抑制し、毛穴を引き締める役割があります。また、レチノールは、しわやくすみなどの改善目的に使用される成分です。
このような成分を含んだ化粧品を使うことも、すり鉢毛穴の予防に効果的だといえます。

日焼けしないようにする

すり鉢毛穴に限った話ではありませんが、肌トラブルを回避するためにも、日焼けはしないようにしましょう。
日焼けをすると、しみやそばかすなどの肌ダメージに加えて、毛穴の開きにも影響します。また、紫外線でダメージを受けた皮膚は、面靤(コメド)という毛穴詰まりが生じることがあります。

日焼け止めや日傘などの対策グッズを活用し、できるだけ紫外線を避けるようにしましょう。

すり鉢毛穴になった時の対処法

ここでは、すり鉢毛穴になった時にどのようにすればいいのか、具体的な対処法について解説します。

ターンオーバーを正常にする

ターンオーバーとは、肌の古い角質層が剥がれ、新しい細胞に変わるサイクルのことです。個人差はありますが、この期間は一般的には約28日とされています。

しかし、毛穴の炎症によりターンオーバーが乱れている状況では、肌が内部の細胞を守るためにスピードが速くなります。すると、新しく生まれて来る細胞は未熟で形や大きさが不揃いになりやすいことから、細胞のつながりが弱く、皮膚のバリア機能も低下します。

すり鉢毛穴が起こっていると、ターンオーバーの乱れも起こりやすいため、以下のような点を意識してターンオーバーを正常にするようにしましょう。

・しっかり睡眠をとる
・ビタミンやタンパク質などの栄養を摂取する
・タバコやお酒を控える
・ストレスを発散する
・定期的に運動をする など

皮脂の過剰分泌を抑える

皮脂の過剰分泌はすり鉢毛穴を引き起こす原因であるため、これを抑えることも対処法のひとつです。

皮脂が過剰に分泌しないようにするには、クレンジングや洗顔などで肌を清潔に保つことはもちろん、肌に水分や油分を与えて保湿し、刺激を与えすぎないようにすることなどが大切です。

また、肌を力強くゴシゴシ洗うことは望ましくありません。洗顔料をしっかりと泡立てて、優しく洗うようにしましょう。

そのほかにも、脂肪分を多く含む食べ物を摂取しすぎると皮脂の分泌も多くなります。バターやマヨネーズ、チョコなどを好む人は多いと思いますが、摂取し過ぎには注意してください。

毛穴トラブルの治療方法

ここでは、毛穴トラブルが発生した際に行う具体的な治療方法について解説します。

さまざまな治療方法があるため、いざという時のためにもぜひ覚えておいてください。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、肌に薬剤を塗布してターンオーバーを整えることで、肌の状態を改善していく方法のことです。薬剤によっては角質を剥がす効果があるため、治療後はピリピリとした刺激を感じることもあります。刺激が気になる場合は、使用する薬剤を見直してもらうなど、クリニックに相談するようにしてください。

ピーリングは基本的に痛みや腫れなどのダウンタイムはなく、赤みが出たとしても数日で治るケースがほとんどです。施術後1週間程度は肌が敏感になっているため、紫外線対策などをしっかりと行ってください。

レーザー治療

皮膚の奥にある組織をレーザー照射で刺激し、本来皮膚が持つ自己再生力を促して皮膚を生まれ変わらせる治療方法です。この働きにより皮膚に新しいコラーゲンが生成されるため、肌の弾力向上や改善などの効果が期待できます。

レーザー治療にはいくつか種類がありますが、中でも毛穴の開きに対してはフラクショナルレーザーが効果的だと言われています。フラクショナルレーザーとは、細かいレーザー光線を多数の点状で照射するレーザーです。皮膚に細かい穴をあけるなど、熱を与えることで、その傷を治そうと周りの細胞が活性化し、ターンオーバーやコラーゲンの生成を促進し、肌の凸凹をなめらかにします。

治療後は、しばらくの間ほてりや赤みが続くことがあります。またほかの治療と同様に、保湿や紫外線対策などを十分に行うようにしてください。

毛穴洗浄

ピーリング成分入りのスキンケアや酵素洗顔などを使用したり、クリニック等で無理なく毛穴洗浄を行ったりすることで、毛穴がめだつ原因の1つである角栓を除去し黒ずみを改善することができます。

まとめ

すり鉢毛穴の概要や発生する理由、予防法、発生した時の対処法などについて解説しました。

すり鉢毛穴は毛穴の開口部分が大きくなり、すり鉢上にへこんでいる状態のことです。皮脂の過剰分泌などによって毛穴が詰まり、不飽和脂肪酸が分泌されることで起こると考えられています。

すり鉢毛穴を予防するためには、クレンジングや洗顔、保湿をしっかり行うのに加え、バランスの良い食事や規則正しい生活を心がけることが大切です。今回の内容を参考に、すり鉢毛穴対策に取り組んでみてください。

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