【医師監修】切らないワキ汗治療器って何?!お医者さんに聞いてみた
ワキ汗は病院へ? 知ってほしい!ワキ汗はお医者さんに相談できるんです
「ワキ汗がひどくて悩んでいるけれど、病院に行くほどのことなの?」と思っている方は少なくないのではないでしょうか。実は、ワキ汗はお医者さんに相談できるのです。
2012年の東京医科歯科大学の調査によると、日本における腋窩多汗症(ワキの多汗症)の推定患者数は約531.9万人。しかし、そのうち医療機関を受診しているのはわずか6.2%で、さらにそのうち実際に治療を受けているのは10%程度です。
多くの方が市販の制汗剤を使ったり、何もせずにそのまま過ごしたりしているのが現状です。しかし、ワキ汗が多いことで汗ジミが目立つ、においが気になる、周囲の目が気になるなど、日常生活に不便を感じている場合、それはQOL(生活の質)の低下につながっています。治療せずに放置したニキビが悪化するのと同じように、適切な医療を受けることが大切です。
ワキ汗治療って大変?! ワキ汗治療といえば、手術がメインだった?
従来のワキ汗治療は、手術(剪除法)がメインでした。藤本先生に、従来の手術について詳しくお伺いしました。
剪除法(保険適用の手術)
- ワキの下を切開し、皮膚を裏返して、エクリン汗腺やアポクリン汗腺をハサミで一つひとつ除去していく方法
- 非常に手間がかかる手術で、汗腺を目視で確認しながら丁寧に除去する必要がある
- 術後は皮膚を縫合し、1~2週間の圧迫固定と安静が必要
- 患者さんの術後の負担が大きい
手術の合併症・リスク
- テープかぶれ(かなりの頻度で起こる)
- 切開部分の離開や感染のリスク
- 目に見える傷跡が残る
- エクリン汗腺はアポクリン汗腺より浅い場所にあるため、十分に除去しきれず症状が改善しないケースもある
ワキ汗治療に救世主誕生?! ワキ汗治療を機器で…って、どういうこと?
藤本先生が注目するのが、マイクロ波を使った「切らないワキ汗治療器」です。
マイクロ波治療の仕組み
マイクロ波を照射すると、分子が超高速で振動し、摩擦熱が発生します。「満員電車で押し合いへし合いしているイメージ」と藤本先生は例えます。この原理を利用して、エクリン汗腺やアポクリン汗腺のある層を狙ってマイクロ波を照射し、熱を加えて汗腺の機能を停止させるのがこの治療器です。
安全性の特徴
- 冷却システムが内蔵されており、皮膚表面をやけどから保護
- 「皮膚の表面は冷やして保護しているから、傷もできません」(藤本先生)
治療の流れ
- ワキに麻酔の注射をする
- 治療範囲をマーキングする
- マイクロ波を照射する
- アイスパックで冷却する
- 治療終了
治療時間は両ワキで通常1~1.5時間程度。治療範囲が広い方は2~2.5時間かかることもあります。
治療に向き合う医師が思う、「切らないワキ汗治療器」のメリット
最大のメリット:傷ができない
「切らないから傷ができない」というところが最大のメリットだと藤本先生は語ります。
術後の負担が軽い
- 術後の患者さんの負担がすごく軽い
- 固定の必要がない
- 当日からシャワーが可能
- 日常生活の制限が少ない(激しい運動や飛行機の搭乗は一時的に避ける)
- 定期的な通院の必要がない
注射治療(ボツリヌス製剤)との比較
注射による治療は、汗の分泌を促す神経伝達を一時的にブロックする方法です。数ヶ月おきに繰り返し注射が必要で、効果は一時的です。
一方、マイクロ波治療は基本的に1回の治療で済みます。藤本先生は「生肉をチンして火を通したら、生肉に戻ることはないでしょう?」と分かりやすく例えます。個人差はあり、症状が残る場合は2回目の治療を検討することもありますが、多くの患者さんにとっては永続的な効果が期待できます。
治療の選び方
- 定期的な通院が可能な方 → 注射治療
- 永続的な効果を望み、メンテナンスを最小限にしたい方 → マイクロ波治療
まとめ
「やっぱりまだ『ワキ汗』『汗のにおい』で病院に行こう、という認識が広まっていないのが現状です」と藤本先生は語ります。
市販の制汗剤では対処しきれない方は、ぜひ医師に相談してみてください。患者さんによってどの治療が適切か、どんな治療が向いているかも変わってきます。手術、切らないマイクロ波治療、注射療法など複数の選択肢があります。まずは医療機関を受診して、自分に合った治療法を見つけましょう。