年齢が若いうちからシミ対策が必要だと知っていましたか。20代だからといってシミができないわけではありません。20代のうちは肌の調子が良くシミがなくても、30代になったとたんシミに悩む可能性もあります。しかし今までシミ対策をしていなかったからといって手遅れというわけではないので、今からシミ対策を行いシミの悩みを減らしましょう。
この記事では20代、30代のシミの特徴や原因、シミ対策の方法を解説します。
監修:加王 文祥 先生[医療法人 天神会 天神下皮フ科形成外科 理事長・院長 / 形成外科専門医]
1.20代でもシミはできる?まだ大丈夫という油断は禁物
20代の肌はハリや弾力がありシミができにくい肌という印象があるかもしれません。しかし20代でもシミができる可能性はあります。
シミの原因には紫外線や生活習慣の乱れ、ホルモンバランス、スキンケアなどによる肌への刺激などが挙げられます。年齢が若くても紫外線を浴び続けると紫外線の影響を受けますし、夜更かしをしたり、食生活が乱れたり、間違ったスキンケアで肌を擦ったりすると肌の老化が進む原因になります。シミ対策を行わずまだ大丈夫と油断していると、年齢を重ねてからシミに悩むことになるかもしれないため、なるべく早めにシミ対策を行うのがおすすめです。
しかし30代だからといって諦める必要はありません。30代には30代に合ったシミ対策があります。年齢に応じたシミ対策を行いシミのできにくい健やかな肌を目指しましょう。
シミについてはこちらの記事でも解説しています。
2.20代でできるシミの特徴
20代はまだまだ肌の新陳代謝がいいので、シミができてもすぐに治るように感じるかもしれませんが、シミ対策をしっかり行わなければどんどん濃いシミへと変化する可能性があります。
ここでは20代で気になるシミの特徴、20代ではじめたいシミ対策について解説します。
2-1.20代で気になるシミの種類
20代で気になるシミの種類には以下の3つがあります。
①雀卵斑
雀卵斑とはそばかすとも呼ばれ、遺伝的な要因でできるため幼少期からあることが多いです。鼻、頬にできる数ミリ程度の小さな薄い茶色の斑点で、色白の人にできやすく、夏の紫外線が強い時期に色が濃くなるのが特徴です。
顔以外にも肩や腕、背中などにできることがあります。思春期をすぎるとしだいに薄くなっていきますが、紫外線を浴び続けたり、洗顔のときに肌を強く擦ったりすることで、そばかすの色が濃くなり目立つようになる場合があります。
②炎症後色素沈着
ニキビ、湿疹、虫さされ、傷、火傷などにより起きた炎症や、洗顔などで肌を強く擦る、刺激の強い化粧品、剃刀や毛抜きによるお手入れ方法、ピーリングなどで肌への刺激が長期的に続いた場合に、シミのもととなるメラニンが過剰に生成されてターンオーバーでは排出しきれず肌に沈着してできます。
炎症を起こした痕がシミとなって残るため形や色などは炎症の度合いによってさまざまです。また顔だけなくさまざまな部位でできることがあります。
③後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
成人になってから頬や額の両側にできることが多く、遺伝的な要因で発症すると考えられていますがはっきりした理由は不明です。シミを作る細胞であるメラノサイトが増える疾患で、シミより深部(真皮内)でメラノサイトが増えるため、シミというより痣と捉えられています。
2-2.20代のうちにはじめたいシミ対策
①紫外線対策
紫外線は肌に刺激を与えメラノサイトを活性化させます。紫外線対策をすることで、メラノサイトの活性化を抑えてシミを予防することができます。紫外線は一年中降り注いでいるので日焼け止めは毎日塗るようにしましょう。
日焼け止めはSPFとPAの数値によって効果が変わります。一概に日焼け止め効果が高いものを使えばいいというわけではありません。日焼け止め効果が高いものは肌へ刺激になる場合があるので、シーンや肌状態に合わせて日焼け止めを選びましょう。
②生活習慣の改善
十分な睡眠時間の確保、正しい食生活など生活習慣を整えることが、肌のターンオーバーを整えることにもつながります。夜更かし、インスタント食品ばかり食べる、朝食を抜くなど生活習慣の乱れとなることはなるべく控えるようにしましょう。
③正しいスキンケア
間違ったスキンケアをしていると肌に刺激を与え続けることになりシミの原因となります。特に洗顔をするときは気づかないうちに肌をゴシゴシ擦っている場合があるので注意が必要です。洗顔料をしっかりと泡立てて、泡の弾力を利用して肌を直接触らないよう優しく洗うことを意識しましょう。
また美白成分入りのスキンケアアイテムを使って、シミのもととなるメラニンの生成を抑制することがシミの予防につながります。美白成分入りのスキンケアアイテムを取り入れるのがおすすめです。
3.30代で気になるシミとは?20代のシミとの違い
30代は20代とはシミができる原因が変わってきます。そのためシミ対策もシミの原因に合わせて行っていくことが重要です。ここでは30代でできるシミの種類、30代からでも行うべきシミ対策について解説します。
3-1.30代でできるシミの種類
30代で気になるシミには以下の3つがあります。
①老人性色素斑
老人性色素斑は最も多いシミで、30代ごろからできやすくなります。最初は薄茶色ですが、徐々に色が濃くなり境界がはっきりしてきます。また数ミリ程度から数センチ程度と大きさに個人差があるのが特徴です。
紫外線によりメラノサイトが活性化することでシミの原因となり、加齢に伴う代謝の低下や長期間の紫外線への暴露によってターンオーバーではメラニンを排出しきれずに肌に沈着し、シミとしてあらわれます。
②雀卵斑
遺伝的要因でできるため幼児期からできる場合があります。思春期をすぎると薄くなってくる場合がほとんどですが、紫外線や間違ったスキンケア、妊娠などが影響で症状が悪化し、シミとして目立つようになります。
③肝斑
30~40代に発症することが多く、女性ホルモンの乱れなどが原因でできるシミです。顔の左右対称にできることが多く、輪郭がはっきりしないのが特徴です。妊娠や経口避妊薬の服用時など女性ホルモンが乱れやすいときにできやすいので、女性ホルモンの乱れに注意が必要です。
3-2.30代からでも行うべきシミ対策
①紫外線対策
30代は肌に蓄積された紫外線の影響が肌にあらわれやすくなっています。そのため紫外線による肌ダメージを防止することでシミの予防になるので、紫外線対策はしっかり行うことが重要です。日焼け止めを毎日塗るだけでなく、日傘や帽子など物理的に紫外線を遮断できるアイテムを使うのも紫外線対策として効果的でしょう。
②生活習慣の改善
睡眠不足や食生活の乱れなど生活習慣の乱れは、女性ホルモンのバランスが乱れる原因となります。生活習慣の乱れだけでなくストレスも加わることで、さらに女性ホルモンのバランスが乱れる可能性が高まります。
20代のときと同様十分な睡眠時間の確保や正しい食生活を心がけてください。またビタミンCやLシステインなどを積極的に摂取して、シミ対策に効果的な成分を体の内側から取り入れるようにしましょう。
③保湿
30代になると紫外線や加齢などによる影響で肌が乾燥しやすくなります。肌が乾燥すると肌の水分量が低下しバリア機能の低下につながるため、肌ダメージを受けやすい状態になります。またターンオーバーの乱れによりメラニン色素が排出されず、シミとなる可能性があります。
スキンケアを行うときはしっかりと保湿することが大切です。肌がうるおい健やかな肌をキープできれば、ターンオーバーが正常に働くためシミの予防ができます。また洗顔のときは肌を擦らないよう意識したり、スキンケアのときに必要以上に肌を触らないようにしたりと肌への刺激を避けるよう注意しましょう。
4.シミの治療方法とは
シミを作らないためにシミ対策はとても重要ですが、できてしまったシミはシミ対策を行っても消すことは困難です。ではできてしまったシミに対してどのような治療を行えばいいのでしょうか。ここではシミの治療方法について解説します。
4-1.まずは医師に相談する
シミにはいろいろな種類があり症状によって治療法が異なります。誤った治療を行うとシミが濃くなってしまうこともあるので、治療を考えるならまず医師に相談しましょう。シミの治療には、レーザー、光治療、内服薬などがあります。自分のシミの種類や、どの治療が自分に合っているか、医師のカウンセリングを受けて正しい治療を選択することが大切です。
4-2.美容医療でのシミの治療方法
美容医療でのシミの治療法にはさまざまな方法があります。
①医療機関専売化粧品
医療機関専売化粧品は医療機関のみで販売されている化粧品です。市販の化粧品に比べ肌への有効成分が多く配合されているのが特徴です。医師の診察のもと自分の肌の状態に合った化粧品を選んで使うことができます。
②飲み薬・塗り薬
シミ、特に肝斑には、メラニンを作るメラノサイトの活性化を抑えるトラネキサム酸やメラニンの生成を抑えるビタミンCなどの内服薬が有効です。
また外用薬には、美白効果が期待できるハイドロキノンや、メラニン生成を抑えるビタミンC誘導体、肌の調子を整えるトレチノイン(ビタミンA誘導体)などが配合されており、新たなシミの生成を抑えることができます。
③イオン導入・エレクトロポレーション
イオン導入は皮膚に微弱な電流を流し、水溶性の美容成分の肌なじみを良くして肌の深部まで導入することができる治療です。ビタミンC誘導体やプラセンタなど粒子の小さい成分を導入するのに適しています。
エレクトロポレーションは電気の力で美容成分を肌の深部に浸透させる治療です。特殊な電気パルスを用いて一時的に皮膚に小さな穴を開け、その穴に美容成分を入れることにより肌への浸透をスムーズにします。ビタミンC誘導体やプラセンタのほかにも、イオン導入では難しい粒子の大きいヒアルロン酸なども導入することができます。
④光治療(IPL)
シミ・そばかすのもとになるメラニンに光を当てることで、光エネルギーが吸収され熱に変わります。この熱により熱ダメージを受けたメラニンは、肌のターンオーバーにより皮膚表面に押し出されて自然に外へ排出されることにより、シミ・そばかすを少しずつ薄くしていきます。複数回の治療が必要で絆創膏は不要です。
⑤レーザー治療
シミの治療にはレーザー治療も有効です。シミ治療に用いられる代表的なレーザー治療法として、レーザートーニングとQスイッチレーザー治療があります。また最近ではピコレーザーという種類のレーザーも用いられるようになりました。
レーザートーニングとは、医療用レーザー機器を使用して、弱いパワーで複数回治療を行い、肌の中に蓄積されているメラニンに穏やかに働きかけることで、ダウンタイム無しに徐々にメラニンを排出させる治療です。レーザートーニングはシミやくすみなどの色ムラを改善し、明るく透き通るような肌へと導きます。
Qスイッチレーザーとは、10億分の1秒という速さでレーザーを発振する医療用レーザー機器で、主にシミの治療やADMなどのあざの治療に使われています。メラニン色素の吸収率が高い波長の光を照射して、周囲組織に損傷なくシミの部分だけを選択的に除去する治療です。
5.まとめ
20代のときはシミ対策に対しての意識が薄い人は多いと思います。しかしできるだけ早めにシミ対策を行うことがシミの予防に重要です。特に紫外線や、間違ったスキンケアによる肌への刺激は、シミを作ったり今あるシミを悪化させたりします。
シミのない肌を目指すには、20代、30代それぞれに合った対策があります。自分に合ったシミ対策を行い、もし気になるシミがあるなら医師に相談しましょう。
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