美容医療での施術に興味があるけれど、高額な料金の請求や自分の思ったような施術ではなかったなどのトラブルが心配という方も多いのではないでしょうか?
契約したら解約できないのか、どのような手続きが必要なのか、気になることと思います。
美容医療サービスでの契約は一定の条件・期間内であればクーリングオフが可能な場合があります。またクーリングオフの期間が過ぎても、中途解約が可能な場合もあります。この記事ではクーリングオフとは何かや美容医療で起きやすいトラブル、途中解約についてなどを解説します。
監修:綾 崇 先生(綾・中尾行政書士事務所 マネージングパートナー/特定行政書士)
1.美容医療で起きやすいトラブルってどんなもの?
美容医療に興味があったとしても、トラブルに巻き込まれたりと心配な方も多いのではないでしょうかここでは美容医療で起きやすいトラブルを解説します。
1-1.施術についての説明不足
美容クリニックでの施術は、医療行為に該当します。施術の内容や効果の説明を受けて、期待が高まる反面、施術におけるリスクや起こりうる副作用、施術時の痛み、複数回の治療が必要であるなど治療を受ける前に知っておくべき点もあります。
メリットだけでなくデメリットもあることを念頭に、事前にしっかり施術についての説明・注意事項を聞いておきましょう。わからないことや気がかりなことはその都度聞くようにしてください。
1-2.納得する効果が得られない
美容の悩みを解消したくて施術を受けたのに、納得のいく効果が得られなければトラブルとなる場合があります。
美容クリニックでは施術を受ける前の診察の際には、自分の悩みをしっかりと伝え、クリニックと具体的な施術後のイメージを共有することが大切です。
しかし自分が受けたい施術があっても、診察の結果によって受けられる施術内容が変わる場合があります。その場合は施術後のイメージが具体的にできるよう、納得がいくまでクリニックと話し合うことをおすすめします。
1-3.高額な費用
費用に関することはトラブルになりやすい項目の一つです。特にクリニックから勧められた施術を当日受けることとなった場合は、必ず料金を確認してから受けることが大切です。
料金を確認せず施術を受けると、施術後に高額な請求をされてしまうことがあるかもしれません。費用に関するトラブルを避けるためにも、必ず施術を受ける前に料金を確認することを心がけましょう。
また自分の受けたい施術がどれくらいの値段なのかを事前に調べたり、予算を決めておいたりして、無理な支払いはしないようにすることが大切です。
1-4.契約の解除について
契約の解除に関してもトラブルが多いです。契約書にクーリングオフが可能との記載があるかをしっかりと確認しましょう。クーリングオフをする場合は、クーリングオフができる期間内なのか、確認することも大切です。
中途解除の場合も同様に、契約書などに中途解約が可能との記載があるかを確認することが大切です。契約解除が可能かどうかは、解除できる条件に当てはまっているかが重要となります。
2.美容医療でのトラブルを回避するためにチェックしたいポイント
トラブルを回避するには自分が納得したうえで美容医療を受けることが大切です。それにはクリニックから施術についての説明を受けて、気がかりや不安なく施術を受ける必要があります。
ここでは美容医療でのトラブルを回避するためにチェックしたいポイントを解説します。
2-1.施術や薬について理解できたか
自分が受ける施術の内容や使用する薬などについて理解できたか、いま一度確認することが大切です。施術によって得られる効果やその施術を受けることで自分の悩みを解消できるかどうかを考慮して施術を受けるか決めてください。
また使用する薬がある場合は、その薬が何のために使われてどのような効果があるかを知っておくことで、安心して施術を受けられるようになるでしょう。
2-2.施術のリスクや副作用
施術はメリットのあることばかりではありません。施術時に痛みや腫れ、ひりつき、出血などを伴う場合があります。人によってはその状態がしばらく続いて苦痛に感じることも。
その状態が落ち着くと施術の効果を実感しやすくなりますが、施術のリスクや副作用について十分に説明を受けて納得したうえで施術を受けてください。
施術によっては肌状態が落ち着くまでの期間が長く、大事な予定の前には受けないほうが良い施術もありますので、副作用や施術の効果を得られるまでの期間も含めて説明を聞くといいでしょう。
2-3.他の施術の説明を聞き自分で選択したか
自分に合った施術を受けるには、クリニックからの説明をしっかりと聞くことが大切です。勧められるままに施術を決定するのではなく、ほかにも気になる施術があるなら、その施術についても説明を聞き、自分の納得のいく効果が得られそうな施術を選択しましょう。
その際は得られる効果だけでなく、リスクや副作用を考えた上で選択をしましょう。
2-4.今すぐ必要な施術か
美容の悩みを解消するために、今すぐに施術を受ける必要があるのかを十分に考えてください。今すぐに施術を受けなくても、ご自身の悩みに適した有効成分配合の化粧品を使ってスキンケアすることで、悩みが気にならなくなる場合もあります。
例えばスキンケアで肌状態が整えばターンオーバーが正常化し、バリア機能が高まることでシミを予防できたり、小じわが気にならなくなったりする可能性があります。まずは普段のお手入れを見直してから、それでも解決できないお悩みがあったら美容医療を頼るようにすると、不必要なトラブルを避けられるかもしれません。
3.クーリングオフとは?
クーリングオフは契約の申し込みや締結をした後でも契約を再考できるようにして一定期間内であれば無条件で契約を撤回、解除できる制度のことをいい、特定商取引に関する法律(特定商取引法)でルールが定められています。
クーリングオフ期間は申込書面または契約書面のいずれかの受け取りが早いほうから起算しますが、書面の記載内容に不備がある場合は所定の期間を過ぎてもクーリングオフができることがあります。
4.クーリングオフするにはどうしたらいいの?途中解約の内容は?
契約を交わした後で契約内容に関して納得できないことが出てきた場合、一定期間内であればクーリングオフが可能です。もしクーリングオフが必要になったら、どのように対処したらいいのか知っておくことが大切です。
4-1.クーリングオフの条件に当てはまるか確認
クーリングオフをするときは、要件を満たしているのかを事前に確認しましょう。要件を満たしていなければクーリングオフの対象にならないため注意が必要です。
まず一つ目は「契約期間が一か月以上で契約金が5万円を超える契約」であることです。すべての契約がクーリングオフの対象となるわけではありません。契約期間、金額ともに要件を満たしていることが重要です。
二つ目は「契約書交付から8日間」であることです。クーリングオフ期間は契約書を交わした日を含めて8日間となります。その期間内にクーリングオフを主張した書面を発送する必要があります。間に合わず期限が過ぎるとクーリングオフができなくなるので気を付けてください。
ただし契約書の交付がない、契約書にクーリングオフについての記載がないなどの書類の不備がある場合は、書面交付から8日間が過ぎてもクーリングオフの対象となる場合があります。
4-2.消費生活センターなどに相談する
施術を受ける際はクリニックから納得できるまで施術の説明を受け、自身が施術内容やリスク、副作用を理解したうえで選択することが大切です。
ただし施術の強要や契約に関するトラブルが起こった場合、自身で解決するのは困難です。その場合の相談窓口として消費者センターなどがあります。まずはトラブルの内容を消費者センターなどに相談してみるといいでしょう。
4-3.途中解約により生じる金額
クーリングオフを行使できれば、契約を結んだ後であっても契約を解除したり、申し込み自体を無条件で撤回したりすることが可能です。またクーリングオフが可能な期間が過ぎていても、契約期間内であれば決められた金額を支払うことで中途解除が可能です。
中途解約で生じる金額は、サービス提供前であれば上限は2万円、サービス提供後であればすでに提供されたサービスにかかる料金+5万円または未提供のサービスにかかる料金の20%に相当する額のいずれか低い方となっています。
ただし、すべての美容医療がクーリングオフや中途解約が可能というわけではありません。もしクーリングオフや中途解約を考えている場合は、できるだけ早く消費者センターなどの窓口に相談しましょう。
5.まとめ
美容医療にチャレンジしてみたくても、トラブルに巻き込まれるのは不安だと思います。不安なく美容医療にチャレンジするには、クリニックからの説明を受け、わからないことや気がかりなことはその都度聞くようにしましょう。
またどのような効果が得られるかだけでなく、考えられるデメリットや治療期間、施術にかかる料金などもしっかりとチェックしておくことが大切です。
もし契約内容などに気になる点がありクーリングオフしたい場合は、消費者センターなどに相談し手続きすることをおすすめします。