生活改善

【医師監修】汗をかかない方法ってあるの?!まずは仕組みを解説

なぜ汗をかくの?

汗は体温を下げるための冷却機能です。汗が皮膚の表面から蒸発するとき、気化熱を奪って体温を下げます。気温が高いときや、運動で筋肉が熱を生み出すとき、体はより多くの汗をかきます。

体温調節以外にも、汗にはフェロモンのような物質を放出する、手足の滑り止めになる、肌の潤いを保つなどの役割があります。まったく汗をかけないと、暑さの中で体温調節ができず熱中症になったり、肌が乾燥してしまいます。

豆知識

人間は汗とともにミネラルを排出するため、汗をかかない動物に比べて多くの塩分を摂取する必要があります。人間が塩辛い味を好むのは、このためです。

汗はどこで作られるの?

汗は皮膚にある「汗腺(かんせん)」で作られ、皮膚の表面に運ばれます。汗腺は皮膚の深い層(真皮の深層から皮下組織)、表面から約1〜3mmの深さにあり、根元は脂肪に囲まれています。

エクリン汗腺

全身に分布していますが、部位によって密度が異なります。手のひら、足の裏、ワキの下に最も多く存在します。主な機能は体温調節です。

アポクリン汗腺

エクリン汗腺より大きく、主にワキの下、耳の中、鼻腔、乳頭周辺、外陰部に存在します。哺乳類特有のフェロモンのような物質を分泌します。

汗をかくメカニズム

発汗を引き起こす主な仕組みは3つあります。

温熱性発汗

最も一般的なタイプで、体温や皮膚の表面温度が上がったときに起こります。温度情報が脳の体温調節中枢に伝わり、全身の汗腺に信号を送ります。血漿が汗腺に届き、必要な成分は血管に戻され、残った水分が皮膚から出ていきます。

精神性発汗

強いストレス、興奮、緊張、不安、恐怖、驚きなどが前頭葉と大脳辺縁系を刺激し、手のひら、ワキの下、足の裏に突然汗をかかせます。メカニズムは完全には解明されていません。この汗は温熱性発汗よりも血液成分を多く含み、ベタベタしやすい特徴があります。

味覚性発汗

主に辛い食べ物を食べたときに起こり、頭皮、顔、上半身に汗が出ます。脳が口の中の熱さを体温上昇と勘違いして冷却しようとしている可能性がありますが、正確な目的はわかっていません。

豆知識

皮下脂肪は断熱材の役割を果たし、熱が逃げにくくなります。体脂肪が多い人は、少ない人に比べて十分に冷却するためにより多くの汗をかく必要があります。汗の量が増えるのは、体が一生懸命熱を逃がそうとしている証拠です。

汗を止める方法

市販の製品で永久に汗を止めることはできませんが、一時的な効果はあります。

  • 「収れん作用」のある製品は、汗の出口を縮めます
  • 吸収成分が水分やベタつきを抑えます
  • デオドラント製品は、抗菌成分で細菌の増殖を抑え、消臭成分でにおいをカバーします

タイプ1:汗の出口をふさぐ治療

塩化アルミニウム外用
塩化アルミニウムが皮膚の角層にある汗管の出口に沈着し、栓を作って汗を止めます。継続的に塗ることで効果が持続します。濃度が高いほど効果は上がりますが、かぶれのリスクも高まります。

イオントフォレーシス
水に浸した手や足に電流を流すと、電気分解で発生した水素イオンが汗管の出口を損傷させます。ワキの下は水に浸すことが難しいため、この部位には向いていません。

タイプ2:汗腺への信号を止める治療

ボツリヌス毒素注射
発汗は、交感神経がアセチルコリン(神経伝達物質)を汗腺に放出することで起こります。この注射はアセチルコリンをブロックし、注射した部位の汗を減らします。効果は約6か月続くため、年2回の治療が必要です。

抗コリン薬の内服(プロパンテリン臭化物)
局所ではなく全身に作用する神経遮断薬で、全身性の多汗症を治療します。ただし、口の渇き、眠気、胃腸の不調、便秘、視覚障害などの副作用があります。

胸腔鏡下交感神経遮断術
交感神経の異常な活動が原因の手掌多汗症(手の汗が過剰に出る状態)に効果があります。この神経経路を外科的に遮断することで手の汗を止めます。しかし、術後にほとんどの患者さんに「代償性発汗」が起こります。胸、腹部、腰、太ももなどに予測できない発汗が増えるため、術前に個別の結果を予測することはできません。

タイプ3:汗腺の機能を停止させる治療

マイクロ波エネルギーデバイス
マイクロ波エネルギーで汗腺を焼いて破壊し、発汗を減らします。効果や持続期間は個人差があります。メスを使わないため傷跡が残らず、麻酔により痛みも少ない「切らない」治療法です。

タイプ4:汗腺を除去する治療

外科的切除
ワキの下の皮膚を切開(通常1〜2か所、4〜5cm)し、目視で汗腺をハサミで除去します。術後は1週間の包帯固定と専用サポーターが必要で、2〜3週間の活動制限があります。傷跡は数か月続き、永久的に残ることもあります。

豆知識

人間の体には約400万個の汗腺があります。ワキの下の汗腺は全体のわずか2%です。治療や手術でこのわずかな割合を除去しても、体全体の機能や体温調節に問題はありません。

まとめ

発汗は重要な生物学的役割を果たしており、すべての汗が問題というわけではありません。市販の制汗製品を適切に組み合わせることで効果的にケアできますが、気になる症状が続く場合は、医師に相談することで、メカニズムに基づいた医療治療を受けることができます。市販品よりも持続的な効果が期待できます。