切らないワキ汗治療

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【医師監修】ちゃんと知ろう!ワキガ(腋臭症:えきしゅうしょう)って、どんな病気?

監修医師:藤田 研也 先生(医療法人 研恵会 ふじた形成外科・皮膚科クリニック 理事長・院長 / 形成外科専門医)

自分の体臭に悩んでいる方の中には、もしかしたらワキガなのでは?と不安を感じつつも、汗のにおいなのか、正直よくわからない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。体臭が強い=ワキガ、と勘違いしている人も多く見られますが、ワキガとは、どんな病気なのでしょう。
この記事では、改めてワキガとはどのような病気なのか、詳しく解説します。

監修:藤田研也先生(ふじた形成外科・皮膚科クリニック 院長 / 形成外科専門医)

腋臭症(ワキガ)って、どんな症状?

一般的には「ワキガ(わきが)」と呼ばれる腋臭症(えきしゅうしょう)。「ワキ」は漢字で「腋」という字で、そのまま「ワキがにおう症状」という意味です。

汗をかく仕組みの記事で詳しく解説していますが、汗は「エクリン腺」と「アポクリン腺」という2種類の汗腺から分泌されます。アポクリン腺から出る汗は、特有のにおいの原因になったり、服についたら黄色いシミになったりします。
ワキガの症状がある人は、エクリン腺からの汗も多く出る、ワキの多汗症(腋窩多汗症)であることも多いと言われています。これは、ワキ汗が多い人が全員ワキガの症状も持っているというわけではなく、ワキガの人はワキ汗が多い傾向がある、ということを指しています。
ワキの多汗症については、こちらの記事で詳しく説明しています。

実はワキガ特有のにおいは、欧米ではある程度、生理現象として認識されています。しかし、日本を含む東アジアでは、においや衣服の黄ばみなどに嫌悪感を抱く傾向がみられます。特に日本ではワキガを嫌がる人が多く、そのせいでにおいを過剰に気にしすぎて、深刻に悩んでしまう人も多いと言われています。

知っておきたいマメ知識

実は腋臭(ワキガのにおい)は一種のフェロモンであり、異性を引き付けるためのものや、縄張りを主張するためのものとして機能していた、と考えられています。動物のほとんどはアポクリン腺のみを持っていて、今でも多くみられる機能です。
世界三大美女の一人としても有名な古代中国の美女、楊貴妃の「体から良い匂いを発していた」という逸話は、ワキガのにおいだったのでは?と言われていて、当時はワキガのにおいを「魅力的と感じられる体臭」と捉えていたと考えられています。

腋臭症(ワキガ)の原因って?なぜワキガになるの?

腋臭(ワキガのにおい)の原因は、ワキ部分のアポクリン腺から分泌される汗にあります。この汗に含まれる脂質・タンパク質が、皮膚表面の細菌に分解され、特有のにおいを生むとされています。アポクリン腺の発達には、遺伝的素因、性ホルモンなどが関与するほか、ワキ毛の量、ストレスや緊張などの精神的な要因も関係しています。
アポクリン腺そのものの量は遺伝子により生まれつき決まっていて、腋臭症(ワキガ)は優性遺伝(簡単に言うと遺伝しやすい)と言われています。またこれと関連して、腋臭症だと耳垢が湿っている場合が多い、という特徴もあります。
ワキガは基本的には遺伝でなるものと考えられていますが、ワキガになる遺伝子を持っていない人でも、ストレスや食生活などの生活習慣、ワキを清潔にしないなどの要因で、ワキガのにおいを発する可能性があります。また、女性の場合は月経や妊娠・出産の際、一時的にワキガのニオイが強くなることも。アポクリン腺は女性ホルモンの影響を受けるので、女性ならではの体の変化による女性ホルモンの作用で、一時的にこのような症状が出ることがあると言われています。

知っておきたいマメ知識

ワキガは遺伝しやすいため、実は人類全体では、ワキガである人の方が圧倒的に多数派。しかし例外的に、日本人・中国人・朝鮮人などの東アジア人においては、ワキガである人は5%-20%と少数派です。東アジア人の祖先は、シベリアなど特に寒冷な地域をルーツにしていて、当時の気候に適応した結果だと考えられています。

腋臭症(ワキガ)の対策や治療はどんなものがあるの?

においを減らすための対処法と、医療機関でできる治療をあわせて紹介します。医療機関でできる治療については、「汗腺」や「汗を出す仕組み」をターゲットにしていることに加え、ワキガの人は多汗症の症状もあることが多いため、ワキガの治療と多汗症の治療法は共通しているものもあります。なお、多汗症治療に用いられる汗を止める治療についてはこの記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

<自分でできること>

①ワキ毛の処理
ワキ毛の処理をすると、ワキの下で汗がとどまるのを防ぎ、また皮膚常在菌が繁殖する場所が減る事によって、においも軽減できると言われています。自己処理は自分でできるのでこちらに記載しましたが、医療機関で受ける医療脱毛でももちろん同じ効果が期待できます。

②アルコール消毒
市販の消毒液(エタノール水溶液、またはイソプロパノール水溶液)をワキに塗って、においの元となる常在菌を殺菌することも有効とされています。

③制汗剤
ドラッグストア等で販売されている制汗剤でも、一時的ににおいの発生を防ぐことができます。「医薬部外品」で殺菌作用のある制汗剤は、アルコール消毒と同じように皮膚常在菌を殺菌してにおいを抑える効果があります。

①~③のどの方法も自分でできる手軽な方法ですが、それでも気になる方や不安な方は、医療機関で治療を受けることをおすすめします。

<病院でできる治療>

①薬を使った治療
塩化アルミニウムの配合された塗り薬を塗って、汗孔や汗管(汗が出る穴)にふたをして発汗を抑制する治療があります。汗が減った結果、においが軽減されるという仕組みです。

②手術
手術では、剪除法(せんじょほう)という方法が最も一般的に行われています。ワキの皮膚のシワにあわせて皮膚に切れ込みを入れて、皮膚を裏返し、目で確認しながらハサミでアポクリン腺を切り取っていく方法です。ハサミで切り取る以外に、管を挿入して吸い出す方法や、ハサミのような器具を挿入する方法もあります。手術の場合は、切開による傷が残る可能性があるほか、術後に1週間ほど施術部位の固定が必要になります。

③その他の治療
機器を使って皮膚を切らずに汗腺にダメージを与え、汗自体を出なくさせる方法もあります。手術とは違い、切らないので傷ができず、術後の生活への影響も軽いと言われています。

知っておきたいマメ知識

自分はワキガではないか?と不安に感じている方の中には、「自臭症(じしゅうしょう)」と呼ばれる神経症が原因の場合もあります。これは「周りからくさいと思われている」と思い込んでしまい、他人の何気ない行動を自身のにおいのせいだと関連付け、日常生活を困難にしてしまう症状で、本当はワキガではないのに自分はワキガだと思い込んでしまっている状態です。こういった場合、客観的な事実を知ることにより精神的に解放される方が多くいらっしゃいます。もし自分のにおいに強く不安を感じている方は、一人で悩まず、一度病院で診断してもらうことも大切です。

 

まとめ

今回は、腋臭症(ワキガ)について解説しました。特に現代の日本では、「自分のにおいに配慮することはエチケット」という考えが根づいていて、ワキガは深い悩みになりやすい症状だといえます。ワキ汗が多くてにおいが不安、ワキガのにおいがする気がする、など、不安に感じることがあれば、一人で悩まずにお医者さんに相談してみましょう。ワキガかどうかの診断やワキガ治療はもちろん、ワキガではなくてもワキ汗の治療など、お医者さんが力になってくれます。適切な治療を受ければ、症状も悩みも軽くできますよ!

ワキ汗に関する情報は、こちらのページで紹介しています。
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