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【医師監修】傷跡を消す方法は?クリニックでの傷跡修正の方法を解説

監修医師:加王 文祥 先生(天神下皮フ科形成外科 理事長 / 形成外科専門医)

傷跡が気になる際はメイクなどで隠すのも1つの方法ですが、傷跡修正を受けることを検討している方もいるのではないでしょうか。傷跡の種類や方法によっては、目立たない状態にできる可能性があります。本記事では、傷跡を目立たなくする方法や傷跡の種類、クリニックの選び方などについて詳しく解説します。

監修:加王 文祥 先生[医療法人 天神会 天神下皮フ科形成外科 理事長・院長 / 形成外科専門医]

傷跡になる原因

傷跡が残る原因について、よくあるケースを紹介します。

事故

程度にもよりますが、交通事故、転倒による怪我などによって大きな傷を負った場合、怪我そのものは治っても、傷跡が残り、見た目が気になることがあります。

帝王切開

開腹によって胎児を取り出す帝王切開では、その方法により傷跡がどうしても残ります。また、帝王切開の術式によってはさらに傷跡が目立つこともあり、完全に消すことは難しいようです。

熱傷によるもの

熱傷によって、傷跡が残ることがあります。熱傷の原因は、アイロンに手が触れた、料理中のやけど、根性焼き(故意にタバコの火などを皮膚に押し付ける行為)などが挙げられます。

リストカット

リストカットは刃物で主に手首を一直線に切るため、一本線の傷跡が残ります。多くの場合は自傷行為が原因であることから、周囲の目を気にして傷跡修正を考える方もいます。

ボディピアス

おしゃれを目的に目立つ場所にピアス穴をあけたものの、ピアスをやめた後でもその部分は傷として残ります。特にピアス穴の部位によっては、年齢とともに人に見られたくないと思うようになることがあるかもしれません。

切り傷、擦り傷

刃先が鋭利なカッターやハサミ、包丁などの使用だけでなく、転倒や擦れなどが原因で皮膚を傷つけてしまうことは日常生活で起こりがちです。表皮や真皮(皮膚の表面)までであれば傷跡として残ることはほとんどありませんが、皮下(皮膚の深い部分)にまで達すると多くの場合で傷跡になります。

以上は原因としてはごく一部であり、それ以外にもかゆさのためにかいたり、関節などに傷がある場合では毎日引っ張られたりすることでも傷跡として残るケースがあります。

傷跡の種類

傷跡には、さまざまな形状のものがあります。また、症状の有無や種類によっても分類されています。傷跡の種類について詳しく見ていきましょう。

形状による種類

成熟瘢痕

瘢痕(はんこん)とは傷跡のことです。
成熟瘢痕は、傷が治癒してから長期間かけて白や肌色に変化し、傷跡として残っている状態です。特にこれといった症状はなく、見た目が大きく変わることもありません。

肥厚性瘢痕

皮膚に生じた傷や損傷が治癒する過程で、瘢痕組織中に膠原線維が異常に増殖し、通常の瘢痕(傷跡)よりも過剰に肥厚した組織が形成されることがあります。これを肥厚性瘢痕と言います。

正常な創傷治癒過程(傷や損傷が治る過程)において、多くは白い傷跡になりますが、まれに途中で赤みが残り、盛り上がることがあります。この状態が肥厚性瘢痕です。一般的に、傷の治りが遅い場合にみられることが多く、初期段階では傷の下の部分で炎症が続いていますが、元となる傷の範囲を超えて広がることはありません。

ケロイド

ケロイドはこの肥厚性瘢痕の病的な変化だと考えられており、両者はまとめられるケースが多々あるようです。しかしケロイドの場合は元の傷の大きさを超え、健常な皮膚にも広がるのが特徴で、治療に難渋します。

萎縮性瘢痕

萎縮性瘢痕は、傷が治る過程で皮膚が萎縮することで生じる傷跡です。代表例として、クレーター状のニキビ跡があります。また、皮下脂肪の減少を伴う場合は、脂肪萎縮型に分類されます。

線状瘢痕

線状瘢痕は、1本の白い線として残る傷跡で、リストカットだけではなく、帝王切開や何らかの外科手術などでもできることがあります。

弁状瘢痕

U字のような形状にめくれた傷を縫合した際に、傷跡が縮むことで周囲の皮膚の引きつれが生じ、結果として真ん中が膨らんでいるように見える傷跡です。

陥没性瘢痕

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織で構成されていますが、真皮や皮下組織が傷害されて起きる傷跡です。鋭く深い陥没のものから広くて浅めなものまでさまざまです。ニキビやおできなどが主な原因です。

等高性瘢痕

等高性瘢痕は、平らな傷跡を指します。傷が治癒した際に、瘢痕が周囲の皮膚と同じ高さになります。

隆起性瘢痕

隆起性瘢痕は、盛り上がった傷跡のことです。傷が治癒した後、瘢痕が周囲の皮膚よりも突き出て目立つようになります。

面状瘢痕

面状瘢痕は、広範囲にわたる傷跡のことです。主に広範囲なやけどの傷跡などがこのタイプに分類されます。瘢痕が広い範囲に広がり、皮膚の表面を覆っているような形状をしています。

平滑瘢痕

平滑瘢痕は、つるつるした光沢のある傷跡のことです。皮膚の表面が滑らかで凹凸が少ないものの、光沢があるため目立ちます。

凹凸瘢痕

凹凸瘢痕は、でこぼこしている傷跡です。水疱瘡やニキビ痕などで見られることが多く、皮膚の表面に突起やくぼみができ、凹凸が目立つようになります。触れるとでこぼこを感じる場合は、凹凸瘢痕と考えられます。

機能障害による種類

瘢痕拘縮

瘢痕拘縮は、傷跡が肥厚したりケロイドになったりすることで、関節や周辺の組織が引きつれ、正常に動かせなくなる状態を指します。特に関節部や首など、皮膚が引っ張られやすい場所で発生することが多いようです。

非拘縮性瘢痕

非拘縮性瘢痕は、傷跡が引きつれず、周囲の組織に影響を与えずに形成された傷跡です。関節や組織の動きを制限しません。そのため、日常の動作によって傷跡が悪化することは通常ありませんが、摩擦や引っかきなどの行為による刺激の影響を受けるため油断は禁物です。

傷跡治療の種類

傷跡の治療(修正)は、傷の性質や経過によってアプローチが異なります。自己判断は難しく、専門家への相談が重要です。治療法の選択には傷の位置、大きさ、治療開始の時期などを考慮する必要があります。

例えば、傷ができてから3ヶ月~半年程度は傷が治っていく段階のため、ここで外科的な処置をすると治癒のさまたげになることもあります。

そのため、一般的には半年~1年以上が経過した段階で傷跡修正を検討します。ただし、症状の有無や程度なども関係するため、まずは医師に相談することが大切です。

それでは、傷跡修正の方法について詳しく見ていきましょう。

瘢痕を切除して縫合する

傷跡のある部分を切除し、皮膚を縫い合わせることで傷を目立たなくさせる方法です。単純に縫い縮める方法、W形成術やZ形成術などがあり、傷跡の種類や大きさ、方向に応じて選択します。

切除による傷跡ができるものの、以前の傷跡と比較すると気にならなくなるケースが多いようです。

また、部位や傷跡の大きさによっては、ティッシュ・エキスパンダーという水で膨らませる風船を皮膚の下に入れてかけて少しずつ皮膚を伸ばし、その後にエキスパンダーを抜去して伸ばした皮膚を用いて瘢痕切除部を覆う方法もあります。

さらに瘢痕が広範囲で切除した部分が縫合できない場合は身体の他の部位から皮膚を移植する植皮術という方法もあります。

レーザーで皮膚の再生を促す

レーザーにはいくつか種類があり、また傷跡のタイプによっても使用するレーザーは異なりますが、主に目立たなくさせることを目的としています。例えばフラクショナルレーザーの場合では、皮膚に小さな穴を無数にあけることで皮膚の再生を促し、その新陳代謝の過程で傷跡が薄くなる効果を期待します。ただし治療範囲によっては、傷跡の切除のような劇的な変化は難しいと言えます。

特殊なメイクアップで隠す

化粧療法(メイクセラピー)やメディカルメイクは、専門的な技術を用いた特殊なメイクアップです。いずれも傷跡そのものが消えるわけではありませんが、見た目の悩みや精神的な負担を軽減するのには有用な方法です。ただし、痛みやかゆみなどの症状を改善することはできません。

施術に関しては、メディカルメイク技術を取得した専門家の指導を受け、希望するメイクを自分で短時間で実践できるようにする方法のほか、あまり目立たない傷や皮膚の変色程度であれば、店舗やオンラインで販売されている専用化粧品を使ってセルフでも対応可能です。

詳細については、形成外科や皮膚科、美容外科などに相談してみるといいでしょう。

内服薬

内服薬によって傷跡に生じている炎症を抑えることで、改善を促す方法もあります。ただし、適応となる傷跡は限られています。例えばケロイドに対しては、傷跡の盛り上がりを抑制するほか、皮膚組織に存在する炎症細胞が出す物質を抑え、かゆみなどの症状を軽減させる働きが期待できます。そのほか、漢方薬を使用することもありますが、傷跡の状態によっては著しい変化をもたらす可能性は高くないとされており、他の治療法とセットでアプローチすることも重要です。

外用薬

傷跡の炎症を抑えることを目的としたステロイドなどの塗り薬やシール剤、保湿剤を使用することで改善を促せる場合があります。特に軽度の傷跡に対してある程度の効果が現れることもあります。しかし外用薬だけでは改善が難しいケースも多く、ほかの治療との併用が必要です。

また、外用薬は適切に使用しなければ十分な効果は得られません。塗り方や量、タイミングなどについて医師からアドバイスを受けることが大切です。

圧迫・固定

肥厚性瘢痕やケロイドに関しては、皮膚が引っ張られる部分にできる傾向があるため、日常の動作によって悪化しがちです。そのため、傷跡を固定するために医療用の紙テープ(サージカルテープ)やシート、包帯、コルセットなどを使用するケースもあります。また傷跡が盛り上がるのを抑制する効果も期待できます。ただし、あくまでも悪化を防ぐことが目的であるため、ほかの治療法と組み合わせながら進めていきます。

注射

注射薬の使用によって、傷跡の痛みやかゆみ、赤みなどのほか、傷の盛り上がりなどが改善できるとされています。使用する薬剤はステロイドで、比較的高い効果が得られる傾向がありますが、副作用として色素沈着や毛細血管の拡張、傷跡のへこみのほか、女性の場合ではホルモン異常による生理不順などが見られることもあります。また、硬い傷跡に適用すると痛みを伴うことがあるため、医師による傷跡の見極めと注射技術が求められます。

放射線治療

放射線治療は、ケロイドの再発や傷跡の盛り上がりなどの再発を防止する目的で、ケロイドの傷跡修正の後に行います。しかし、周囲の正常な皮膚に悪影響がおよぶ可能性があり、また長期的な照射部の発がんリスクが増加することが懸念されるため、慎重な検討が必要です。とはいえ、最近では放射線量や照射方法が工夫されていることもあり、発がんリスクが大きく増加することはないとされています。

治療の有用性とリスクを踏まえ、主治医と相談の上で判断するようにしてください。

傷跡のケア方法

治療と並行して、傷跡のケアも大切です。特に重要なのは、保湿と紫外線対策、保護です。傷跡が目立たなくなっても継続的に保湿し、乾燥を防ぐ必要があります。肌のバリア機能が低下しているため、普段は保湿しなくても問題なかったとしても、傷跡の部分は乾燥しやすくなります。その結果、痛みやかゆみが生じ、生活に支障をきたすこともあるでしょう。

また紫外線対策は、バリア機能が低下した部位への紫外線による影響や、色素沈着を防ぎます。このほか、摩擦やかゆみによる引っかきなどの刺激から傷跡を守るための保護テープもあります。

傷跡を消したいときのクリニックの選び方

傷跡を効果的に治療するためには、適切なクリニックの選択が不可欠です。特に重要なのは医師や施術者の技術力です。優れた技術を持つクリニックは、患者の皮膚状態を正確に評価し、最適な治療を提供できるでしょう。傷跡の種類や深さに合わせた個別のアプローチを可能にし、より良い結果が期待できます。

クリニックの実績や医師の技術力・信頼性を考慮して判断するようにしましょう。

まとめ

傷跡は、その見た目や症状から悩む方は少なくありません。放置すると悪化するおそれや、かくことで治りが悪くなることもあり、傷跡修正が必要な場合もあります。傷跡の種類や症状によって行うべき治療法が異なります。さまざまな傷跡の種類の中から適切な治療法を選択するには、医師の知識や経験が必要なため、傷跡修正において多くの実績を持つクリニックに相談しましょう。

     

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