マスクの着用で、コロナ禍以前よりも夏の熱中症リスクが高まっていると言われています。マスクをしていると、熱中症の前兆といわれている喉の渇きを感じにくくなってしまうためです。熱中症予防を意識した行動や、新しい生活様式に合わせた対処法を、改めて確認しましょう。
監修:下方 征 先生(渋谷スクランブル皮膚科 院長 / 皮膚科専門医)
マスク着用がマスト!新しい生活様式に合わせた熱中症予防が必須
新型コロナウイルスの感染拡大予防のために、「マスク着用や手洗い、身体的距離の確保、3密(密集、密接、密閉)を避ける」を取り入れた生活様式について、2020年に厚生労働省から公表されています。
マスクを着用することにより、コロナ禍以前よりも夏の熱中症のリスクが高まると言われていて、この新しい生活様式に合わせた熱中症予防を実践していくことが必要不可欠となります。
熱中症予防のポイントとしては、高温多湿なこの時期のマスク着用時は、体感温度や心拍数、呼吸数が上がるなど身体に負担がかかり、熱中症になりやすい状態なので、人との十分な距離が保てるところでは、一時的にでもマスクを外して、休憩することも大切です。激しい運動は避け、喉の渇きを感じなくても、こまめに水分補給を徹底しましょう。
もし、体に異変を感じたら、すぐに涼しい場所へ移動を!エアコンで室内の温度・湿度を適切に調整し、窓を開けたり、換気扇をつけたりして、しっかり換気を行うことも忘れずに。
日頃から体温測定や健康チェックを行い、発熱時に慌てないように自分の平熱を知っておき、健康管理と暑さに慣れるための体づくりをしておくことも大切です。
※厚生労働省「令和2年度の熱中症予防行動について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000633494.pdf
こんな症状に注意したい!熱中症の初期症状
熱中症の代表的な初期症状は、体のだるさや生あくび、立ちくらみ、めまいなど。熱失神とも言われていて、炎天下や高温多湿な場所でのスポーツや長時間作業で、脳の温度が上昇し、脳への血流が減ることで引き起こされる症状です。
他にも唇の乾き、動悸、吐き気、頭痛、大量の汗または汗が止まる、心身のだるさ、足がつる、不快感などの症状があれば、熱中症が疑われます。
マスクを着用していると、着用していない時と比べて、顔に熱がこもりやすく、渇きに気づきにくくなります。暑い場所で長時間マスクを着用する際は、細心の注意が必要です。
もしかして熱中症?症状が出たら、するべき対処法
①涼しい場所への避難
熱中症が疑われる場合は、意識があるか確認し、症状に関わらず涼しい場所へまず移動しましょう。自分で歩けそうでも、めまいやふらつきで転倒してしまう危険もあるので、両側から支えてもらって移動することが大切です。
風通しのよい日陰や、クーラーの効いている室内で体を冷やし、水分補給をしっかり行いましょう。
②脱衣と冷却で熱放散
涼しい場所に移動したら、衣服や下着などをゆるめて、熱を放散させましょう。水で濡らしたタオルなどで体を被うか、冷水をかけ、風をあてて体を冷やしましょう。また保冷剤や氷のうで首やワキの下、太もものつけ根など太い血管がある部位を集中的に冷やすのも、体全体を冷やすには効果的です。
③横になって休む
心臓への血流を良くして血圧を上げ、脳への血流を改善するために、足を10cm程度高くして横になり、ゆっくり休みましょう。
④水分と塩分の補給
スポーツドリンクや経口補水液が最適ですが、ない場合は1リットルの水に1~2グラムの食塩を混ぜた食塩水で、十分に水分補給をしましょう。時間を決めてこまめに水分をとるようにするのもおすすめです。
人との距離が保てず、マスクを外して水分補給しづらい場合は、マスクの下からストローなどを使って差し込むと、マスクを外さなくても飲み物を飲むことができます。
⑤症状が良くならない時は迷わず医療機関へ
水分補給をして安静にしていてもなかなか症状が良くならない、吐き気や嘔吐などで水分補給が難しい時は、迷わず医療機関を受診するようにしましょう。
熱中症が起きやすいのは、一日の寒暖差や前日との気温差が大きい時間帯といわれています。暑い日委は水分摂取とエアコン活用をいつも以上に意識するようにし、重症化しないためにも、早めの対処を徹底しましょう。マスク着用時は、体が普段とは違ったサインを出すかもしれません。決して軽視しないことが大切です。
熱中症の前段階、脱水症状の予防についての記事はこちら!
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