医療機関で受けられるワキ汗治療については、こちらの記事で解説しました。医療機関でできる治療法の一つである「切らないワキ汗治療器」は、あまり聞き慣れない方も多いと思いますが、いったいどのような治療なのでしょうか。この記事では、実際に医療機関ではどんなことをするのか、治療の流れを紹介します。治療を検討されている方は、是非参考にしてみてください。
監修:藤本 卓也 先生(こまちくりにっく 院長)
1.ワキ汗治療、いつ受ける?事前の注意事項を確認!
実際にワキ汗治療を受ける前に、まずは治療を受ける日を決めて、医療機関の予約を取りましょう。
程度や期間には個人差がありますが、治療直後からしばらくの間、ワキに腫れや赤みが見られるため、次のような場合は注意が必要です。
①袖のない服を着る、プールや温泉など、ワキが他の人に見える予定がある
②運動をする、飛行機に乗る予定がある
治療後1週間以内にこれらの予定があるときは、治療日をずらすことをおすすめします。
また、この治療はワキ汗を出す汗腺をターゲットにした治療ですが、汗腺と同じくらいの場所に毛根がある関係で、ワキの下の毛が減る可能性があります。普段から自己処理している人や、既に脱毛治療を受けた人であれば気にならないかもしれませんが、かなり少なくなることもあるので、頭に入れておくとよいでしょう。
併せて事前準備として、治療を受ける2~3日前にワキの下の毛を剃る必要があります。医療機関によっては当日対応してくれるところもあるようですので、あらかじめ受診する医療機関に確認することをおすすめします。
なお、以下の項目に当てはまる方は、この治療を受けることができません。該当するものがないか事前に確認して、気になることがあったらきちんと医療機関に相談するようにしてください。
※文献、および臨床の現場において一般的な禁忌事項などを掲載しております。 【禁忌】 • 心臓ペースメーカーや他の電子機器が体内に埋め込まれている方 • ワキの下付近に金属製のインプラントなどが埋め込まれている、または刺青のある方 • ワキの下に悪性腫瘍、又は悪性皮膚腫瘍がある方 【注意を要するケース】 • 広範囲リンパ節郭清手術を受けたことのある方 • ワキの下を切開する乳房再建術を受けたことのある方 • 上記以外にも、ワキの下の外科手術を受けたことのある方 • 痩せている方、筋肉質の方など皮下脂肪がほとんどない方 (腕神経叢の分枝が浅い部分にあるため副作用のリスクが高くなります) • 免疫力低下、または免疫抑制剤を使用しているなど、治療後の治癒過程の妨げとなる薬を服用している方 • 肥満の方(皮膚が張り、吸引できない場合があります) • 治療部位に湿疹、また乾癬などの皮膚疾患がある方 • 何らかの理由(皮膚に広範囲のしわがある、治療部位に極端に凹凸があるなど)で、テンプレートを正確に転写できない方 • 大豆アレルギーのある方(テンプレートのインクが大豆インクであり、大豆アレルギーがでる可能性があります) 【下記のケースにおいては、安全性が確立されていません。】 • 妊娠中、または妊娠の可能性がある方、授乳中の方 |
2.クリニックに到着!まずは何からはじまるの?
治療当日、クリニックに到着したら、まずは医師の診察を受けます。
治療前に不安なことがあったらきちんと確認して、納得してから治療を受けるようにしましょう。
なお、診察時にワキを見せる必要があるので、シャツなどの前開きの衣類を身に着けていくと、診察がスムーズになりおすすめです。(※あくまでもお勧めですので、必須ではありません)
診察が終わったら、治療のための準備をします。ベッドに寝た状態で腕を上げ、ワキが伸びるようにひじを曲げた体勢を取ります。この状態で治療を受けるので、もし体勢がつらい、痛みやしびれが出るなどあれば、必ず伝えるようにしましょう。
そして、ワキに麻酔の注射をします。注射の痛みに弱い人、注射が苦手な人は、事前に伝えておくとよいでしょう。
麻酔の注射が終わったら、ワキに治療の目印を付けていきます。シートをワキにあててアルコールで転写する方法でつけるので、アルコールにアレルギーのある方は事前に必ず伝えてください。別の方法で目印を付けますので、アルコールにアレルギーがあるからと言って、治療が受けられないわけではありません、
これで、治療の準備は完了です。ここからは、「切らないワキ汗治療器」を使っていきます。
3.ワキ汗治療器で、いよいよ照射!どんな感じ?
麻酔をかけたところに、マイクロ波を照射していきます。
治療は、次の3 つのステップで構成されています。
①吸引 ⇒エネルギーを与える部分の皮膚を吸引して、固定します。 ②エネルギー照射+冷却 ⇒吸引して接触した部分から冷やして、皮膚の表面やターゲットとする汗腺のある層よりも浅い層の熱損傷を防ぎながら、ターゲット層にエネルギーを与えます。 ③冷却 ⇒与えたエネルギーがターゲット層に留まり、他の部位に熱が広がらないよう、さらに冷却します。 |
さきほどつけた目印に合わせて位置をずらしながら、このステップを繰り返して、ワキ全体にマイクロ波を照射していきます。治療は片ワキずつ行い、片方の治療が終了したら、もう片方も同様に治療していく、という流れです。
治療中は麻酔が効いているので痛みの感覚はほとんどなく、吸引されている感覚が少しある程度と言われます。反対に、もしこのときに急に痛みを感じたら、適切に麻酔がかかっていない可能性がありますので、すぐに施術している方に伝えてください。
照射が終わったら、アイスパック(いわゆる保冷剤のこと)を15分~20分くらいワキに挟んで冷やし、治療は終了となります。治療時間はだいたい1時間半~2時間くらいで終了します。
4.ワキ汗治療が終わった後の注意事項は?
治療後は、腫れ、痛み、違和感などがあるため、必要に応じて治療後2~3日は、数時間毎に15~20分程度、アイスパックで冷やしましょう。痛みや腫れが激しいときは、担当の医師に必ず伝えてください。
その他注意点や、比較的よく見られる治療後の反応を、以下にまとめます。
<注意点>
・治療後数日間は、多量の飲酒や湯船に浸かるなど、血行を良くすることは控え、シャワー浴にします。 ・ワキの不快感がなくなるまでは、治療部位をこすらないよう、泡でやさしく洗う程度にします。 ・ワキの毛の自己処理や制汗剤の使用も避けましょう。 ・ワキを刺激しないように、ゆったりとした服を着ましょう。 ・治療後1週間程度は、運動・重い荷物を持つなどのワキに負担がかかることはしないようにしましょう。 ・治療後数日間は、飛行機に乗る、山登りをするなどの気圧の変動を招くような行動は避けましょう。 |
<比較的よく見られる治療後の反応>
反応 | 期間 | 対処 |
治療部位の浮腫(むくみ) | 1~8週間 | 経過観察 |
治療部位の疼痛や圧痛(痛み) | 2~3 週間 | 消炎鎮痛剤の内服 |
冷却・治療部位やその周囲の感覚の変化 | 1~12 週間 | 経過観察 |
吸引による赤み | 数日間 | 保湿剤の塗布 |
注射による皮下出血 | 数日間 | 経過観察 |
治療部位の一時的な陥凹(へこみ) | 4~6 週間 | 経過観察 |
5.まとめ
今回は、「切らないワキ汗治療器」による治療の流れや注意事項を紹介しました。医療機関で受けられるワキ汗治療には、様々な方法があります。どの治療を選ぶかは、医師としっかり相談して、納得して治療を受けるようにしましょう。ワキ汗に悩んでいる人や、治療に興味がある人は、まずは医療機関に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
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